NHKで国際部、米ワシントン支局員などを歴任し、現在はドイツ在住のジャーナリスト、熊谷徹氏が欧州の最新動向をリポートします。
シリーズ
熊谷徹のヨーロッパ通信

完結
37回
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中国企業がイスラエルに殺到、遅れる日本
イスラエル政府と中国政府が2011年7月に貿易促進や経済協力に関する合意書に調印して以降、まるで水門を開いたかのように、何十億ドルものチャイナ・マネーがイスラエルに流れ込み始めた。
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独・中がイスラエルに殺到、遅れる日本
イスラエルの国土は小さい。同国の2017年の人口は約878万人で東京23区に満たない。だがイスラエルはテクノロジーの分野では決して小国ではない。サイバーセキュリティと自動運転の分野で世界中の注目を集めている。その強さの秘…
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メルケル体制崩壊への序曲
独バイエルン州の州議会選挙で、キリスト教社会同盟(CSU)が大敗した。難民の受け入れに批判的な有権者が離反。メルケル首相が進める難民政策のとばっちりを受けた。次はヘッセン州議会選で同首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)…
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中ロ、初の大規模合同演習で蜜月演出し日米牽制
ロシア軍は9月半ば、中国とともに大規模な軍事演習を実施した。狙いは中ロの「蜜月」を強調することで日米を牽制すること。ドイツのメディアは、プーチン大統領が日本政府に通告することなく「平和条約」を提案したのを「安倍首相への侮…
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ジェノバ高速道路崩壊とイタリア発ユーロ危機
8月14日にジェノバで高速道路の陸橋が崩壊した事故は、イタリアが政治的・経済的に追い込まれた苦境を象徴している。ポピュリストが事故を口実にEUとの対立を激化させ、ユーロ危機が再発する可能性すら指摘されている。
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トランプ欧州歴訪が示したポピュリスト帝国主義の脅威
トランプ大統領とプーチン大統領による共同記者会見は、欧米の多くの政治家、報道関係者を改めて戦慄させた。トランプ氏は「最悪だった米ロ関係が大きく変わる」と断言。かつての敵・味方の概念が通用しなくなりつつある
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EU戦後最大の危機、メルケル政権崩壊の可能性
ドイツそしてEUは、戦後最大の危機に刻一刻と近づきつつある。メルケル氏が、6月28~29日のEU首脳会議で難民問題の解決策を見出すことができなければ、独連立政権の一翼をになうCSUと正面衝突することになる。天王山が迫る。
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アウディ社長逮捕の衝撃
アウディは、フォルクスワーゲン(VW)排ガス不正事件のいわば本丸である。VWグループのエンジン開発の中枢を担ってきたからだ。そのトップが排ガス不正事件をめぐって逮捕されるに至った。経営陣の責任に向かって捜査段階がまた一つ…
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急拡大するドイツ排ガス不正事件の闇
2015年9月に発覚した独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正事件は、拡大する一方だ。検察庁の捜査の手は独アウディ、独ポルシェなどVWグループに属する企業だけではなく、独ダイムラー、独BMWなど他のメーカーにも及ぶ。
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新シリア危機、イスラエルとイランが衝突か
米英仏のミサイル攻撃で揺れるシリアに、もう一つの火種がある。それは、シリアを舞台に、イスラエルとイランが軍事衝突する危険が高まっていることだ。
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メルケル氏、首相承認に30人を超える造反
第4次メルケル政権は船出から暗雲に覆われた。国会による承認で、連立与党から30人を超える造反者が現れた。一度は下野を決めた社会民主党の議員とみられる。親EUの同党は外相、財務相という重要閣僚を握る。対EU政策は与党内の不…
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伊選挙でポピュリスト躍進、欧州の新たな火種
イタリアの総選挙でポピュリスト政党が躍進した。左派ポピュリストである五つ星運動の得票率は33%、右派ポピュリストである中道右派連合の得票率は約37%。合わせて70%に達する。ドイツに続いて連立協議のために政治空白が続く可…
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「敗者の大連立政権」は有権者をさらに失望させる
1月21日に社会民主党(SPD)がボンで開いた臨時党大会で、代議員の過半数が、キリスト教民主同盟(CDU)、キリスト教社会同盟(CSU)との大連立をめざし本格交渉に入ることを承認したからだ。
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2018年は独仏の立場が逆転する分かれ目の年か
2018年の欧州において台風の目となるのはドイツの政局だ。ドイツそしてメルケル首相の求心力が低下するのは不可避。欧州通貨同盟の改革などを掲げるフランスのマクロン大統領と立場が逆転する分かれ目の年となるかもしれない。
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ドイツ連立交渉決裂で高まる伝統的政党への不信
ドイツの政治が麻痺しつつある。メルケル首相の与党が自由民主党、緑の党と続けてきた連立交渉が決裂。同首相のレームダック化は深刻になる一方だ。哄笑しているのは極右政党だけだといえる。
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独選挙で「過去との対決」を否定する極右が躍進
先の独連邦議会選挙この国に大きな変化をもたらすだろう。一つはメルケル首相のレームダック化。もう一つは「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進だ。これは戦後ドイツの国是である「ナチス過去との対決」を否定する声が高まったこと…
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IoTの決め手は職業研修と教育にあり
日本でも多くの企業が研究を進めている、物のインターネット(IoT)。その推進の仕方に、ドイツと日米の間で大きな違いがあることは、あまり知られていない。ドイツでは最初から政府主導で推進してきた。その理由を、数回に分けてお伝…
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ドイツ政府がIoTをトップダウンで導入する理由
日本でも多くの企業が研究を進めている、モノのインターネット(IoT)。その推進の仕方に、ドイツと日米の間で大きな違いがあることは、あまり知られていない。ドイツでは最初から政府主導で推進してきた。その理由を、数回に分けてお…
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迫るロシアの脅威、バルト3国の悲劇再来を防げ
ロシアがクリミアを併合して以来、バルト3国でプーチン政権に対する不安が高まっている。こうした中、ドイツなど西側諸国は、バルト3国に初めて戦闘部隊を派遣し、ロシアに対する抑止力を強化しようと目指している。
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右派ポピュリズムを抑えるカギは社会保障にあり
EU離脱をめぐる英国民投票以降の選挙を振り返ると、社会保障の充実度の違いが結果に影響している。充実度が低い米国では右派ポピュリストのトランプ氏が政権に就いた。一方、充実度が高い西欧諸国では、右派ポピュリストの勢力拡大が抑…
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総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回