新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。
シリーズ
中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス

完結
145回
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中国・月裏側への探査機着陸成功に見る野望
中国は1月3日、国産無人探査機「嫦娥4号」の月面の裏側への軟着陸に成功した。月面開発を含む宇宙開発競争で米国に先んじることができれば、この米中新冷戦の行方はまだわからない。中国の宇宙強国路線は、米国の警戒を呼び起こすには…
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追いつめられた中国経済、2019年の動向を占う
新華社が21日に報じたところによれば、19-21日に中央経済工作会議が開催された。中央委員会総会(四中全会、政治政策の決定を中央委員会によって可決する)を開かずに経済政策を決める中央経済工作会議を先に開くのはやはり異例だ…
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中国・キリスト教弾圧にバチカンの妥協どこまで?
司教任命権問題で中国とバチカンが9月に“暫定合意”に至り、中国当局が勝手に任命したために破門した7人の司教に対して、バチカンは破門を取り消すこととなった。これに続き、地下教会の司教を政府公認教会の司教の下につけることにバ…
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習近平のメンツをつぶした華為ショックの余波
米中首脳会談の裏側で進行していた中国最大手通信技術メーカー・華為技術の副会長兼CFO(最高財務責任者)・孟晩舟の逮捕劇で、米中貿易戦争が一時休戦かという期待は完全に裏切られた。このタイミングで孟晩舟の逮捕を要請した米国側…
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米中首脳会談の勝利者はどっち?
アルゼンチンのブエノスアイレスで行われたG20サミットの席で現地時間12月1日夜、米大統領トランプと中国国家主席習近平の米中首脳会談が行われた。米国側は2019年1月1日から予定していた2000億ドル分の中国製品に対する…
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中国は台湾を内部崩壊させるのか
台湾で4年に一度の統一地方選挙が行われた。結果は与党・民進党の惨敗、蔡英文総統は責任を取って党主席職を辞任した。現地で民進党寄りの人たちに話を聞いてみると、「中国が台湾世論の分断工作に動いたのではないか」という声も聞こえ…
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喧嘩バス事故相次ぐ中国、自動運転の“低い壁”
10月末に発生した中国・重慶路線バスの転落事故は、乗客と運転手の殴り合いが原因で15人が死亡する惨事となった。交通事故大国の中国ではAI制御による自動運転や道路交通システムの実用化に期待が集まるが、このような科学技術の発…
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習政権が批判恐れ? 重要会議が開かれない理由
11月中旬にもなって中国共産党の秋の重要な政治会議である四中全会のアナウンスがない。改革開放以来、秋の中央委員会総会がこんなに遅れたことはない。共産党内部で何か揉めていて総会を開くどころではないのだ、との噂が立っている。
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中国に飲み込まれる香港、強まる解放軍の存在感
9月23日に開通したばかりの高速鉄道「広深港高速鉄道」と、10月23日に開通したばかりの香港・珠海・マカオ大橋。このルートで北京と香港を往復すると、香港の一国二制度は今や完全に昔話であることが実感されてしまう。香港の現状…
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7年ぶりの日中首脳会談で得したのは誰?
7年ぶりの安倍晋三首相の公式中国訪問が無事に終わった。26日のCCTVの夜のニュース(新聞聯播)では日中首脳会談は二番手扱いで、どうしてもトップ記事にしたくない中国の意地みたいなものを感じた。日本に頼らざるを得ないのは中…
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意外に安倍政権好きな中国知識人
安倍晋三首相が10月25日から27日にかけて訪中する。習近平政権になってから初の日本首相による公式訪中であり、苛烈な米中貿易戦争で苦戦している中国にとって日本首相訪中への期待は並々ならぬものがある。この訪中は今後の日中関…
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本当に中国は米国の選挙に干渉できるのか
米副大統領ペンスによる対中国施策についての演説は、中国を本気で叩き潰そうとする現トランプ政権の姿勢が伝わり、世界に衝撃を与えた。注目したいのは「中国が2018年の中間選挙および2020年の大統領選挙に干渉をしようと、対米…
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国際機関ICPOの中国人総裁はなぜ消えたか
ICPO(国際刑事警察機構)の中国人の総裁・孟宏偉が9月25日以降、忽然と姿を消した。家族もICPOもフランス当局もその行方がわからず、家族はフランス警察に捜査を依頼した。10月8日になって中国国内で国家監察委員会の取り…
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中国とバチカン接近であおりを食う台湾
カトリックの司教任命問題について、バチカンと中国が暫定合意書に署名したというニュースが駆け巡っている。任命権のプロセスの問題や、反共産党的な中国の地下教会に対しての対応も不明だが、気になるのは、バチカンと台湾との関係だ。
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教科書改訂で毛沢東の文革再評価、習政権の狙い
毛沢東がこの世を去って42年目の9月、党中央教育部傘下の出版社が中学校二年生用の歴史教科書下巻の改訂版を出した。この教科書では文化大革命が毛沢東の“錯誤”であったという表現を、毛沢東の“苦労と探索”という表現に書き改めて…
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日本も要警戒を 中国でアフリカ豚コレラが猛威
中国でアフリカ豚コレラが猛威を振るっている。原因は貿易戦争の影響で米国産豚肉の輸入を停止した代わりに急増したロシア・東欧産豚肉の輸入、密輸が疑われている。中国側も必死で対策を講じているようだが、日本はじめ周辺国への影響も…
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ジャック・マー突然の引退発表の謎
中国IT界の寵児にまでのし上がった立志伝中の人物であるジャック・マー(馬雲)が突然の引退を発表した。いろいろと邪推してしまうのは、eコマースの雄、京東集団の劉強東に性犯罪疑惑が浮上したためだ。中国IT業界で何が起きている…
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中国・一帯一路の挫折と日中関係
中国国内でも悲観的な見方が多かった一帯一路の挫折がいよいよ表面化してきた。2013年に習近平が自らの最重要国家戦略として打ち出したこの戦略は、AIIBという中国主導の国際金融機関の設立とセットで意欲的に進められてきたが、…
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中国・深圳で労働者支援の学生ら50人一斉拘束
5月から深圳で続いていた深圳佳士科技公司(JASIC)の労働争議で、8月24日に支援者の学生ら50人が一斉に身柄拘束された。労働争議の支援者リーダーであった活動家の沈夢雨が当局に連れ去られたことをきっかけに、運動が完全に…
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中国新疆・ムスリムの強制収容所が急速に拡大
中国でウイグル・ムスリムを対象とする強制収容所が急速に拡大しているようだ。収容者は200万人を超えるという推計もあり、記者による取材や強制収容所から逃れた人の証言から弾圧の実態が伝わり始めている。ウイグル人権問題が浮上し…
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