企業経営の仕組みは、圧倒的なスピードで、これまでにない変化を遂げつつある。「コーポレートガバナンス」「社外取締役」「スチュワードシップ・コード」「コーポレートガバナンス・コード」といった耳慣れないキーワードは、ビジネスマンとして働く方、経営者の地位にある方にとって、あっという間に必須の知識となるだろう。このコラムでは、これらのキーワードと共に、企業経営の在り方について解説していく。
シリーズ
成長戦略としてのコーポレートガバナンス

完結
15回
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MBOにおける社外取締役の役割とは
2017年2月、アデランスがMBOにより上場廃止した。このMBOの際に行われた公開買付けにおいて、公開買付価格に一部の株主が不満を抱いたことから、少数株主保護に注目が集まり、社外取締役のあり方が問われた。
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役員を賠償リスクから守り攻めの経営を可能に
D&O保険が変わった。社外取締役にとって朗報である。社内取締役にとっても同じことだ。いずれも、コーポレート・ガバナンスをさらに促進するためである。目的は、役員等の損害賠償リスクを補償し、経営に専念してもらうことだ。
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ISSとグラスルイスの「新助言方針」とは
今年の株主総会に向け、議決権行使助言会社大手2社が、議決権行使助言方針を改定・公表した。相談役・顧問制度や、役員兼任数の上限などが主な内容だ。両者の方針について考える。
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経営戦略としてのESG
今ESGが注目を集めている。GPIFは、ESGに積極的に取り組む会社を構成銘柄とする新しい株価指数を募集すると発表。この新しい株価指数を用いてESG投資に乗り出す見込みで、将来的には数兆円の規模に膨らむ可能性がある。
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守りのガバナンスの重要性
「攻めのガバナンス」の重要性が注目される一方で、「守りのガバナンス」の重要性を再認識させる事件も起きた。東芝事件である。この不適切会計事件を踏まえ、「守りのガバナンス」の重要性を再度認識する。
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重要性増す経営トップの選解任と後継者計画
会社法上、経営トップを含む取締役の選解任は取締役会が行うとされている。しかし、実情は経営トップの交代を現時点の経営トップが決めている。これには業績が低迷していても役員交代が行われないなどの批判がある。
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コーポレートガバナンス・ガイドラインの活用
各上場会社ではガバナンス・ガイドラインの策定・見直しが重要となってきている。ガバナンス・ガイドラインには、海外投資家がこれになじんでいるという背景があるからだ。海外の投資家に理解されやすいのである。
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「お手盛り」ではないインセンティブ報酬のあり方
これまで役員報酬の高額化については、「お手盛り」と批判されることが多かったが、社外取締役が報酬の決定に果たす役割が大きくなれば、業績向上のためのインセンティブとして役員の報酬は高額化していくだろう。
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監査等委員会設置会社をめぐる留意点
監査等委員会設置会社への移行については、当然に賛同を得られるわけではないことに十分注意する必要がある。形ばかりの移行ではなく、実効性が求められる時代になってきている。
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「株主との対話」の場へと変わり始めた株主総会
今年も株主総会シーズンがやってきた。こんな話題も今年限りかもしれない。今年の集中率は32%である。ピークだった1995年の96%に比べれば64%、昨年の42%からは10%の減少である。
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取締役会の機能を向上させる具体的な方策
セブン&アイ・ホールディングスの一件は真相が何であれ、社外取締役抜きに今回の事態が生じていなかったことは確かである。しかし取締役会の評価は、海外では一般的に行われているが、日本ではなじみがなかった。
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ROEとコーポレートガバナンス
自社株買いや増配など「収益力」を伴わないROEの向上は、中長期的な企業の成長のための研究開発費等の成長投資に充てる資金が少なくなり、短期的に株価を維持することに終わるような経営につながるおそれがある
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トヨタの種類株式と「重要なパートナー」の確保
ショートターミズムへと陥らないために、企業にとって「重要なパートナー」となりうるのは、中長期保有の株主である。では、企業は、どのようにして「重要なパートナー」としての中長期保有の株主を増やしていくべきだろうか。
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企業はどのように「物言う株主」に向き合うべきか
最近、旧来型アクティビストファンドとは異なる特徴がある新たなアクティビストファンドも登場し始めている。こういった新型アクティビストファンドの特徴は、「対話」を重視するという点である。
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横並びではなく自らの言葉による開示を
「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の開示例をもとに、コーポレートガバナンス・コードへの上場会社の実際の対応を検討し、日本の上場会社と中長期志向の株主との建設的な「目的を持った対話」を充実させる情報開示はどのような…
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