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「スキー場の再生請負人」と呼ばれる企業がある。長野県白馬の岩岳、八方尾根などで8カ所を運営。夏や秋でも楽しめる「マウンテンリゾート」に転換することで、国内外からファンを呼び込んでいる。

(日経ビジネス2018年10月22日号より転載)

四季を通して楽しめる仕掛けを充実
10月初旬に白馬で開業させた北アルプスを見渡せるテラス()。夏や秋に楽しめるスリリングなアトラクション()も人気

 「想像以上にすごい景色」「山に手が届きそう」。冬のスキーで有名な長野県・白馬岩岳の山頂付近。2018年10月初旬に開業したテラス施設「ハクバ マウンテンハーバー」に足を運ぶと、来訪者からそんな声が聞こえてきた。北アルプスの絶景が迫り、雪山と紅葉が同時に望める。開業した10月6日からの3連休で、約4500人を集めた。

 運営するのは日本スキー場開発の子会社、白馬観光開発(長野県白馬村)。「夏秋シーズンで1日平均1500人の来場は過去にないことだ」と同社の和田寛社長は手応えを語る。雪がある冬に営業するイメージの強いスキー場を、夏や秋でも楽しめる施設に変えて集客するのが、日本スキー場開発の戦略。同様の施設を他に2カ所開業させている。

斜陽産業の再生に乗り出す

DATA
日本スキー場開発
2005年設立
本社 長野県白馬村北城6329-1
資本金 16億6600万円
社長 鈴木周平
売上高 64億2000万円
(2018年7月期)
従業員数 237人
事業内容 スキー場および関連施設の運営
インバウンド効果などで成長軌道に
●日本スキー場開発の売上高推移

 同社の創業は2005年。駐車場関連サービスを手掛ける日本駐車場開発の社内ベンチャーとして立ち上がった。「疲弊するスキー業界をなんとかしたい」と考えてスタートさせたという。

 スキーなどのウインタースポーツ人口は1993年の1860万人をピークに減少。2007年には1000万人を割り込んだ。映画「私をスキーに連れてって」が公開された1987年から20年を経て、「冬の定番」は斜陽産業になった。

 だからこそ、2006年9月に長野県のサンアルピナ鹿島槍スキー場を取得した日本スキー場開発は異色だった。なぜ、衰退する産業に力を注ぐことを決めたのか。日本スキー場開発の鈴木周平社長は、参入の理由として2つの「低さ」を挙げる。施設の稼働率とサービス水準だ。

 日本駐車場開発には不動産を効率よく稼働させるノウハウが蓄積している。その目線に立つと、稼働するのが冬と春の150日ほどに限られるスキー場は「宝の持ち腐れ」に映った。「スキー場を手放したいオーナーが多い中、グループに取り込んで稼働率を高めればチャンスがあると考えた」(鈴木社長)

 だが、当初はもくろみ通りに進まなかった。最初のスキーシーズンとなった06〜07年は暖冬で歴史的な雪不足。グループ化した鹿島槍スキー場からも客足は遠のき、1億円の赤字を出した。赤字は3年目まで続いたという。

 それでも日本スキー場開発はひるまず、規模拡大のアクセルを踏んだ。施設ビジネスには一定の規模が必要と考えたからだ。09年には、竜王スキー場の運営会社を譲受。さらに10年、群馬県の川場リゾートも傘下に収めた。