X線などの強い放射光を集光する高精度のミラーを開発。微細物質の解析で活躍している。導入分野は世界各地の先端研究所から宇宙関連、半導体製造装置へと広がろうとしている。

(日経ビジネス2018年9月24日号より転載)

超微細物質を「見える化」
ジェイテックコーポレーションが開発した高精度ミラー(上)は、放射光施設(下)で数マイクロメートルの超微細物質を解析する際に活躍する
(写真=読売新聞/アフロ)

 「詳しい仕組みを教えてもらえないか」。8月上旬、米ロサンゼルス。世界の学術研究機関が集まる学会で、ジェイテックコーポレーション(大阪府茨木市)の研究者は、多くの参加者から、こんな声をかけられた。同社は4月、電圧を加えることで表面の角度を自由に調整できる次世代の高精度ミラーを発表していたからだ。

 同社の高精度ミラーは、X線などの強い放射光を数十ナノ(ナノは10億分の1)メートル単位まで集光できる。強力な光を使う巨大な顕微鏡のような「放射光施設」などで使われる。アルツハイマー病の治療に役立つ可能性があるたんぱく質の微細分子や、転がりやすい一方でブレーキが利きやすい低燃費タイヤの材料などの解析に活躍する。

先端研究施設向けで高シェア

DATA
ジェイテックコーポレーション
1993年設立
本社 大阪府茨木市彩都やまぶき
2-4-35
資本金 8億1224万円
社長 津村尚史
売上高 10億988万円
(2018年6月期)
従業員数 37人
事業内容 超高精度形状ミラーの設計・製作・販売、医療・バイオ向け自動化システムの開発設計・製作・販売
グローバルで受注が伸びて急成長
●ジェイテックコーポレーションの業績推移

 Jテックコーポの従業員数は40人弱で、売上高の8割が海外向けだ。高精度ミラーの市場全体におけるシェアは14%程度だが、とりわけ最先端の放射光施設向けで高いシェアを持つ。

 微細な物質を詳しく分析する際に必要な高精度ミラーの性能が高く評価されている。例えば、ヒト由来たんぱく質の構造は、以前は20マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルまでの結晶しか解析できなかった。それを10マイクロメートル以下でも可能にしたのが、Jテックコーポのミラーだ。

 オーダーメードで製造し、目的に応じて表面をなだらかに湾曲させる。Jテックコーポは後発だが、他社のものと比べて加工精度が格段に高いという。

 例えば、全長90cmのミラー表面に高低差が50マイクロメートルのカーブをつける際の誤差は±1ナノメートル。仮に全長が鉄道の東京~大阪間(約500km)に相当する巨大な鏡を作り、25mの高低差をつけた場合、誤差を±0.5mmに収められる計算になる。

 競合は独ツァイスなどの欧米勢。だが、筆頭格の大手でも、上の例のように換算した場合の誤差は±5mm程度が限界という。Jテックコーポは、文字通り桁違いの高い精度を実現する。

 同社は1993年、倉敷紡績で顔料を調合する装置を開発する技術者だった津村尚史氏が設立。当初の主力は細胞の自動培養装置で、住友電気工業と提携して商品化した。