事業会社、地方自治体などと独自の提携関係を構築、「つながり」を拡大している。営業職員による従来型の保険販売が難しくなる一方で、国内は人口減で市場が縮小。つながりで新たな販売力と商品開発力を高め、新たな生保会社の姿を目指す。
(日経ビジネス2018年9月24日号より転載)


●第一生命ホールディングスの純利益推移
出所:第一生命ホールディングスの資料を基に本誌作成
「健康診断の結果を出してもらえれば生命保険の保険料が安くなるかもしれませんよ」
「1234さ~ん、お薬です」
●第一生命ホールディングスの純利益推移
出所:第一生命ホールディングスの資料を基に本誌作成
東京都大田区の京急線梅屋敷駅前。下町風情漂う商店街の入り口に立つ調剤大手、日本調剤の梅屋敷薬局に一歩入ると不思議な光景が広がる。
外から見ると、ごく普通の調剤薬局だが、中に入ると店舗の真ん中に低い間仕切りがあり、右が調剤薬局、左が保険の販売ショップに分かれている。1つの店に、全く異なる2つの機能を併設しているのである。
第一生命ホールディングスが今、従来の生命保険会社の枠を超える新たな動きを加速させている。その柱が、生保以外の企業や自治体など、これまでにはなかった幅広い提携戦略だ。
「グループ外の多様なビジネスパートナーとコネクト(つながり)を広げる。それが、(死亡保障などだけではない)新たな付加価値を生み出し、最終的に個人の顧客の獲得にもつながっていく」(稲垣精二社長)という。
生保の営業力といえば、何と言っても女性を中心にした営業職員。第一生命も約4万人の職員を抱える。地縁、血縁をはじめ、あらゆるネットワークに入り込み、保険商品を売り込んできた。ところが、2001年9月に発生した米同時多発テロ以降、環境は大きく変わった。セキュリティーの強化で、企業のオフィスという重要な訪問先への立ち入りが難しくなった。以前のように職場を訪れて社員に直接保険の販売をするという営業手法が取りにくくなったのである。
Powered by リゾーム?