全国各地の名物の菓子である「銘菓」の製造を支える縁の下の力持ちとして発展してきた。国内市場が成熟する中、欧州やアジアへの進出を加速することで、成長の壁を乗り越えようとする。

(日経ビジネス2018年9月10日号より転載)

(写真=室川 イサオ)
多様な菓子を自動生産
機械を納入する菓子メーカーごとに材料を混ぜる時間や焼き方などを変化させ、全国の様々な菓子の製造を支える
(写真=室川 イサオ)

 北海道の「白い恋人」、仙台の「萩の月」、東京の「東京ばな奈 見ぃつけたっ」、浜松の「うなぎパイ」──。多くの人が目にしたり、口にしたりしたことがある地域を代表する人気の「銘菓」ばかりだ。

 実は、これらの菓子は全て同じ会社の機械によって作り出されている。その会社がマスダック(埼玉県所沢市)だ。「デパ地下(百貨店の食品売り場)で売られている銘菓の60%以上が当社の機械によって作られている」。同社の増田文治社長はこう胸を張る。

 マスダックは、どら焼きやスポンジケーキ、クッキーなどを自動で作る機械のメーカー。どら焼き向けに限れば、シェアは90%と圧倒的な首位だ。日本の菓子文化を支えているといっても過言ではない。なぜ同社の機械は多くの菓子メーカーを魅了するのか。

数百種類の製菓機械を開発

DATA
マスダック
1957年設立
本社 埼玉県所沢市小手指元町
1-27-20
資本金 1億円
社長 増田文治
売上高 123億175万円
(2018年3月期)
従業員数 約280人
事業内容 製菓機械の製造・販売
成長停滞を打破するため海外を強化
●マスダックの売上高推移

 マスダックの強みは、機械メーカーの枠を超え、顧客の目線に立って、商品の開発から量産までを支援していることにある。全国各地の菓子メーカーは、他社にない特徴がある商品を開発しようとする。例えば、2枚の生地であんなどを挟むどら焼きのような菓子でも、形状、食感、原料などで違いを出すことが不可欠。地域ならではの独創性がある商品を消費者は求めている。

 だからこそ全国の菓子に詳しいマスダックのアドバイスが重要になる。菓子作りの裏も表も知り尽くしているからだ。同社の社員は、どうすれば特徴ある商品を生み出せるか、企画段階から関与する。その上で、マスダックの機械を使って量産体制をどう構築するかを検証し、商品化を実現させる。1957年の設立以来、同社が開発してきた製菓機械は数百種類に及ぶ。