アイデア商品で日用品・医薬品市場で独特の存在感を放つ小林製薬。2期連続で過去最高の営業利益を見込むが、実のところ、この10年は以前のような息の長いヒット商品が出ていない。社員のアイデア創出力を磨き、これと決めた新商品を徹底的に育てる手法で「脱・一発屋」を目指す。

(日経ビジネス2018年9月3日号より転載)

新製品のアイデアを持ち寄り、一番いい案をブラッシュアップしていく。小林章浩社長(右中)も参加(写真=行友 重治)

 もっと使いやすい容器にしたらどうだろう」「たっぷり使えるのがいいかもしれないですね」──。

 8月22日、大阪・道修町にある小林製薬本社内で、新製品のアイデアについて熱い議論を交わす社員の姿があった。本社だけではない。同じ日の同時刻には、富山県や愛媛県の工場など小林製薬のあらゆる拠点で、社員たちが新製品のアイデアを持ち寄っていた。

全社員のアイデア創出を重視している
●小林製薬の新商品開発フロー
卸事業は撤退したが最高益を見込む
●小林製薬の連結業績
注:2018年12月期は見込み。16年12月期は決算期変更に伴い9カ月分の数値

 この日、開かれたのは年に1度の「全社員アイデア大会」。新商品開発を本業とするマーケティング部門のみならず、経理や広報などの管理部門から工場、海外子会社まで国内外の約3000人のグループ社員全員がそれぞれの職場で新製品になりそうな「ネタ」を披露し、評価し合う。普段の業務から離れて「アイデア出し」に集中するため、工場は原則、稼働を止めるほどの力の入れようだ。

 「誰に向けた製品なのか、この製品によってどんな喜びを感じられるのかなど、とにかく具体的に新製品のターゲットや機能を皆で議論してもらう」と全社員アイデア大会の運営を仕切るグループ統括本社経営企画部の和己玲子氏は語る。製品の特長や名前、パッケージに使う写真やキャッチコピーの配置に至るまで、各職場で選んだ有望なアイデアに磨きをかけて、11月に本社で開く「決勝」に挑む段取りだ。

 決勝では国内外の拠点から集まった「新商品のネタ」を、小林章浩社長ら経営幹部が吟味していく。「開発に値する」と判断すれば、市場調査や技術検討など、製品化の可能性を探るステップに進むことになる。

小林製薬のヒット商品と出来事
●創業から今まで