そこで16年4月に東京・銀座に店舗を開き、借り換え診断サービスを始めた。株主である電通の従業員向けにサービスをPRし、顧客を獲得した。しかし、金融機関との交渉がうまくいっていないので、当初はMFSが金融機関に顧客の個人情報を提出しても、その問い合わせは顧客に行ってしまった。

 状況を一変させたのは、あるネット銀行の提案だった。「MFSのサービスは不動産業者が住宅ローンの媒介をするのと仕組みは同じですよね。それなら、顧客の同意書があればいいですよ」。その銀行が許可したことで、ほかの銀行も追随し、MFSを窓口として認めるようになった。中山田社長は「銀行業界は、どこか1行がやると、右に倣えとなる」と当時を振り返る。いまでは不動産会社の手数料と同様に、借り換えが成立することで生じる成功報酬を、顧客が住宅ローンの借入額に組み込むことも可能になった。

特別金利を提供する銀行も

 最近では、金融機関が住宅ローンの審査に使う保証会社と連携し、顧客の住宅ローンの審査業務の効率的なオペレーションを築いた。

DATA
MFS
2009年設立
本社 東京都千代田区大手町
1-6-1
資本金 4億4600万円
社長 中山田 明
売上高 1億円
(2018年6月期)
従業員数 20人
事業内容 住宅ローンのコンサルティングサービス
サービスの利用者は右肩上がりで増えている
●住宅ローン借り換えに関する相談件数の推移

 金融機関にすれば、MFSは従来取り逃していた借り換えの潜在顧客を見つけ出してくれる存在。「しかも金融機関から手数料を取っていない」(中山田社長)。そこで一部金融機関は、MFSの顧客のみを対象にした特別金利の提供を始めるようになった。

 事業の拡大に合わせて、ビジネスモデルも見直した。一時期は銀座店を含めて、3つの店舗を運営しつつ、電話での相談も受け付けていたが、電話だけでも十分にサービスを提供することが可能と判断。今年5月末で運営費がかかる店舗をすべて閉め、コールセンターのみの運営に切り替えた。年内には、ウェブ上で借り換えに必要な手続きができるようシステムを構築、さらなる固定費の削減を狙う。

 事業開始以来、売り上げは毎月平均11%増加しており、18年6月期の売り上げは、前年比2.6倍の1億円。MFSの調査では、国内の900万件の住宅ローンのうち、半数の450万件に100万円以上の見直しメリットがあるという結果が出ており、事業拡大を狙う。19年6月期中に単月黒字、20年6月期は通年での黒字を目指す。3年後のIPO (新規株式公開)を視野に入れる。

 8月22日には中古不動産流通サービスを手掛ける会社との連携を始めた。中山田社長は「顧客の面倒ごとだけでなく、人手不足に悩む不動産会社や金融機関から住宅ローン契約で生じる手間を引き受ければ、もっと事業は拡大できる」と自信を見せる。