イオンにとって大きな財産

 ウエルシアの前身、グリーンクロス・コアは00年に、ジャスコ(現イオン)と資本業務提携した。そして14年11月、上場は維持しながらも、イオンの連結子会社になった。イオンにとってウエルシアを子会社に取り込んだ意味は大きい。連結業績への貢献はもちろんのこと、イオンが手薄な都市部を攻略する上で、競争力のあるウエルシアの店舗は大きな財産といえる。ライバルであるセブン&アイ・ホールディングスは、セブンイレブンを持つ一方で、有力なドラッグストアを子会社として持っていないからだ。

 もっともウエルシアが、コンビニと比べて劣る点は当然ある。そこに対しては、他社の力を借りるなど、正面からは戦わないしたたかさも見せる。

 例えば、コンビニの生命線である弁当。ウエルシアは、イオングループに属する弁当店チェーン、オリジン東秀から一部店舗で供給を受けている。「自前の論理に経営の軸足を置かないことが大切」というのが池野隆光会長の持論だ。北海道が地盤のコンビニ、セイコーマートからも弁当を調達している。

 コンビニが得意とするPB(プライベートブランド)開発でも、同じ土俵では戦わず、「健康・高齢化対応」の商品を軸に据える。8月に発売した「カラダきらめく甘酒アミノプラス」は、近畿大学と共同開発。“飲む点滴”といわれ近年マーケットが拡大している甘酒に、筋力に関わる栄養成分を添加したものだ。

 18年度には前期実績108店舗を上回る127店舗の新規出店を計画するが、物件の確保は容易ではない。「コンビニや他の小売業との争奪戦が起きている」(水野秀晴社長)という。もともと店舗開発担当者は4~5人しかいなかったが、M&A(合併・買収)を実施した先の人材も加わり、開発部隊は5~6倍に増えた。都市型店舗の出店には3人を専任で就けている。

 「セブンイレブンとアマゾンだけでは生活者のニーズは満たせない。当社の存在意義は必ずある」と話す池野会長。圧倒的に見える巨人とも戦うすべがあることを証明しようとしている。

(内海 真希)

INTERVIEW
池野隆光会長に聞く
高齢社会のプラットフォームになる
(写真=的野 弘路)

 ほとんどのドラッグストアは家業からスタートし、多くは親子関係で経営を承継しています。私自身も創業者ですが、当社は合併を繰り返して多種多様な組織や人材が寄り集まった会社であり、家族経営ではありません。家族経営にありがちなしがらみや忖度がないことが、当社の自由闊達な社風を作り出している一因だと思います。

 買収した会社に対しても、「お金を出したんだから俺の言うことを聞いてね」ということはやりません。相手の会社だって地域で何十年も残ってきたのには、それなりの理由があったわけで、その良いところをこっちに取り込まないともったいないと思います。

 数年後には売上高1兆円を視野に入れています。ですが、会社は大きくなるほど、ダメになる確率が高いと思います。売上高などの「数字」が目的化しがちだからです。名門と呼ばれた大手企業が、数字を追うようになっておかしくなった例はたくさんあります。

 そうならないためにも、商売には“思想”が必要です。ウエルシアの場合は、どうすれば生活の役に立てるかを考えること。調剤や介護を強化することで、高齢社会における生活のプラットフォームを目指します。一部店舗にはコミュニティースペース「ウエルカフェ」を設置し、地域のサークル活動などに無料で開放していますが、当社の薬剤師や栄養士が薬や食事の相談会を開き、プロとしての腕を磨いてもらう狙いもあります。従業員が満足できて初めて、お客様の満足も生まれますから。

(談)