薬と化粧品が“安売りの原資”

 食品を格安で販売したり、アルバイトを高い時給で雇ったりできるのは、コンビニにはない医薬品を高い利益率で販売できるという強みがあるからだ。ウエルシアの品目別の売上高粗利益率を見ると、大衆薬と処方箋調剤がともに40%弱と極めて高い。そして見逃せないのが、化粧品も33%という安定した粗利率があることだ。中高年女性をターゲットとした、1万円前後の高価格の化粧品も珍しくない。薬と化粧品を合わせて、売上高の5割強を占める。こうした盤石な収益源があるから、その他の雑貨や食品は「集客商材」と割り切って、大胆な安売りができるのだ。

M&Aを軸に増収増益続ける
●ウエルシアホールディングスの業績推移と主な出来事
*=決算期の変更のため6カ月分の連結業績

 粗利率が20%の食品は、集客のために重要だが、もともと事業の主軸ではないので、極言すれば商品によっては「利益度外視」で売っても経営の屋台骨は揺るがない。ここがコンビニやスーパーと大きく違う。

 コンビニの3つ目の弱点は、超高齢社会への対応が不十分な点だ。対照的に、ウエルシアは全店舗の約7割に当たる1183店舗で処方箋調剤の機能を備え、業界でも先行している。併せて栄養士の採用に力を入れており、高齢者が健康相談できる「かかりつけ薬局」の役割を担う。ドラッグストア業界では24時間営業は珍しいが、ウエルシアではすでに145店舗に上り、今後、全店舗の2割を目標に拡大する。

 24時間営業は住民の信頼を得るだけでなく、売り上げにも貢献する。都市型店舗の神田小川町店は、1日に来店する客数のうち約20%は深夜帯に来店するという。

 「ウエルシアは食品や深夜営業の拡充により来店頻度を高め、処方箋調剤を備えて固定客を増やした。それにより、他企業に先駆けて、人口1万人程度の小商圏でも採算が取りやすくなっている」。いちよし経済研究所の柳平孝主任研究員はそう分析する。

 小商圏でも商売が成り立つということは、例えば小売店がぶつかり合う激戦区のすき間に出店が可能で、出店余地は広がることになる。柳平氏によると、90年代ごろ、ドラッグストアは人口3万~5万人という大きな商圏で事業展開をしていたという。つまりウエルシアは店舗の“コンビニ化”というイノベーションを起こすことで、自ら成長の余地を広げていることになる。

 ここ数年の成長ペースがそれを反映している。18年度(予想)までの3期の平均でみると、ウエルシアの増収率は年14%。セブンイレブンのチェーン売上高伸び率は16年度に5%、17年度は4%にとどまり、勢いの差は明らかだ。

 日本チェーンドラッグストア協会と日本フランチャイズチェーン協会の調査結果で17年度の両業界の市場規模を比べると、ドラッグストアは6兆8500億円、コンビニは10兆7000億円だった。まだ4兆円ほど差があるが、ウエルシアなど大手がけん引してドラッグストアの市場が急ピッチで伸びているのに対して、コンビニ市場は鈍化が鮮明。近い将来、市場規模は肉薄する可能性がある。