都市部で最も存在感のある小売業といえばコンビニだ。ウエルシアとは企業規模も圧倒的な差がある。セブン-イレブン・ジャパンの17年度のチェーン全体の売上高は4兆6781億円、店舗数は2万260店。それぞれウエルシアのおよそ7倍、12倍という規模だ。

過去5年で業界勢力図は塗り替わった
●ドラッグストアチェーンの売上高順位
注:ドラッグストアを主要事業に持つ上場企業の連結決算を比較した。ウエルシアHDは2012年度は8月期、17年度は2月期。スギHDは2月期、サンドラッグ、マツキヨHD、ココカラファインは3月期、ツルハHD、コスモス薬品は5月期

 コンビニが小売業の王者であるのは間違いないが、それでも弱点はある。ウエルシアは3つの弱点を巧みに突く。

時給は2割以上も高く

 1つ目は価格だ。都内の住宅密集地にある板橋赤塚店。平日の昼下がりに、子連れの主婦や中高年の女性客が集まっていたのは、店の奥にある食品コーナーだ。もともとドラッグストアは、トイレットペーパーなど日用雑貨の安値販売には定評があるが、ウエルシアは食品を低価格販売することで、コンビニやスーパーから顧客を奪っている。

近隣のオリジン東秀の店舗から仕入れる弁当(左)。コーヒーマシンも設置(右)(写真=竹井 俊晴)

 納豆3パック85円、卵10個入り138円なども安いが、ナショナルブランド商品で見ると、コンビニとの価格差は明らかだ。例えば、伊藤園「お~いお茶」のペットボトル入り飲料は、ウエルシアが78円(525ミリリットル)だったのに対して、近隣のセブンイレブンは120円(600ミリリットル)。明治のラクトアイス「エッセル スーパーカップ」はウエルシアが108円で、セブンイレブンでは130円だった。

 コンビニの2つ目の弱みは、人員の確保だ。パート・アルバイトを集めにくいのは、多くの小売業に共通する悩みではあるが、特にコンビニは各店舗を運営するのがFC(フランチャイズチェーン)加盟店であるという点が不利な要素となる。それぞれの加盟店は経営体力がさほど強くはなく、損益ギリギリで運営しているところもある。バイト募集にかける経費や時給の設定などにも限界がある。

ウエルシア板橋赤塚店の近くにあるセブンイレブン。ウエルシアからの低価格攻勢を受ける(写真=的野 弘路)