素早く構築し、じっくり運用支援

DATA
あしたのチーム
2008年設立
本社 東京都中央区銀座6-10-1
GINZA SIX オフィスフロア 11階
資本金 4億1010万円
(資本準備金含む)
社長 髙橋恭介
売上高 27億6000万円
(2018年3月期)
従業員数 200人
事業内容 人事評価制度構築および運用支援サービスの提供
人手不足を背景に急成長
●あしたのチームの売上高の推移

 あしたのチームは、短期間で評価制度を構築すること、その制度の運用支援を行うこと、自社開発の業務用システムを提供することをサービスの3本柱としている。

 「従来の評価制度コンサルタントは、顧客企業ごとにオーダーメードの評価制度を1年ほどかけて構築する。一方、あしたのチームは中小企業に的を絞って制度のひな型を準備しているため、短期間で仕上げられる」(髙橋会長)

 同社が構築するコンサルタントは制度づくりに先立ち、顧客企業の提出する経営資料を分析し、ひな型に落とし込んで評価制度のたたき台を作成する。そして、それをもとに経営者と面談し、最短1日で制度をまとめる。

 同社が構築する評価制度は、仕事の進め方に関する「行動評価」と、仕事の成果に関する「数値評価」から成る。行動評価の項目設定は会社ごとの特色が表れる部分だが、同社はここでも素早い制度構築のための工夫をする。人材の資質を「チーム精神の発揮」や「ムードメーカー性」といった75種類の特性に分解しており、コンサルタントはその内容を記したカードを使って、経営者とともに項目を選び出す。

 短期間で制度を構築した後は、その浸透と改善を支援する。評価スケジュールの管理や資料づくりなどを行うほか、月に1度は顧客企業を訪問し相談に乗る。いわば顧客企業の外にある人事部として、1年かけて組織に制度を根付かせる。

 顧客企業の社員は、制度づくりに伴い決定した社内目標に合わせて、四半期ごとに個人目標を設定していくが、その内容についてはあしたのチーム側のスタッフが細かく添削する。「努力する」「臨機応変に」といった曖昧な表現はNG。「勉強会を毎月1回」や「15分以上の協議が必要な場合は相手のスケジュールを確認」などと具体的に明記するよう、上司を通じて働きかける。四半期ごとに社員が目標を設定し振り返る仕組みには、評価結果への納得感を高めつつ、人材育成にも役立てるという狙いがある。

 こういった制度運用を支えるのが同社の3本目の柱、業務用クラウドシステムだ。目標の記入・添削や評価業務を効率化し、制度導入の負担を小さくする。ここには、前職時代に煩雑な書類作業に悩んだ髙橋会長の経験が生かされているという。

 顧客を中小企業に絞って業務をパッケージ化したことで、制度構築費用は多くの場合100万円前後に抑えられる。「人事評価制度構築を行う同業他社と比べると、およそ10分の1の水準。その分、運用支援サービスの手数料によって、平均500万円程度の単価を確保するビジネスモデルだ」(髙橋会長)

 同社の人事評価制度を導入したラブ・ラボ(高松市)の谷本昌英代表は「目標が明確になったことで、導入から1年で残業時間が1日平均1時間減り、給与も上げられた」と語る。今年からは自社のみで運用しているが、「業績に結び付く目標設定をうまく行うには、実力あるリーダー層の育成が不可欠」(谷本代表)と今後の課題も意識する。

 あしたのチームは人手不足の進展の追い風を受け、4期連続で売上高を前期比およそ2倍に伸ばしている。「人手不足はもちろん、事業継承・M&A(合併・買収)やIPO(新規株式公開)など、会社の統治システムが変わるタイミングも我々の営業チャンス」(髙橋会長)

 しかし、人手不足の悩みからは同社自身も無縁ではいられない。強みである運用支援サービスの提供には人員が必要だ。業務拡大に合わせた人材確保のため、同社は採用コストの低い地方部にサテライトオフィスを展開。ITを活用し、遠隔地でも連携して働ける体制づくりを進めている。人材を集め、つなぎ留める組織づくりは、同社自身の課題でもある。