不祥事が相次ぎ企業統治のあり方が問われる中で、需要が高まっている社外取締役を紹介する。候補者となる人材の不足感が強まる中、適任者の紹介だけでなく育成サービスにも乗り出す。

(日経ビジネス2018年7月9日号より転載)

社外取締役の候補者と面談し,その資質を見極めるのもプロネッドの酒井功社長(左)の重要な仕事だ

 「来年、採用できる候補者が欲しい」「再来年でいいので採用できる女性はいませんか」。まさに青田買いの様相だが、これは売り手市場といわれる就職最前線の様子……ではない。企業から、人材紹介のプロネッド(東京・港)に飛び込んでくる「社外取締役を紹介してほしい」というリクエストだ。

 社外取締役の争奪戦が激化している。東京証券取引所は2015年、上場企業に、その会社から独立した立場で経営を監視する社外取締役を2人以上選任するよう求めた。“身内の論理”を優先し、不祥事などを隠蔽しがちなこともあり、社内や取引先出身者だけで構成される取締役会への視線は厳しくなっている。客観的な立場から経営を監視したり、助言したりする独立した社外取締役は、もはや欠かせない存在だ。

100人以上を企業に紹介

 こうした流れを受け、プロネッドが手掛ける社外取締役の紹介サービスは活況を呈している。同社が紹介した実績は、社外取締役・監査役を合わせて100人超に達する。その大半が15年以降の実績だ。「この3年間は、ものすごい追い風が吹いている」。プロネッドの酒井功社長はこう強調する。

 独立した社外取締役を選任する企業が大幅に増えていることは統計でも裏付けられている。2人以上の独立社外取締役がいる東証1部上場企業の比率は14年に2割強だったが、17年には9割弱まで増加。さらに今年の企業統治指針の改定で、必要なら社外取締役を3分の1以上にすべきとされたため、社外取締役の需給は一段と逼迫しそうだ。

 もちろん社外取締役は誰でもなれるものではない。上場企業の取締役として経営を適切に監督する能力が求められる。企業統治に関する豊富な知識やビジネス界での経営経験などが必要だ。だが世の中に適任の人材はそう多くない。そこで困った企業がプロネッドに助けを求めてくるのだ。

 プロネッドが紹介するのは、社外取締役の属性で最も多い他社の出身者(企業OB)が中心だ(下の図)。社外取締役は弁護士、会計士、学者も少なくないが、企業OBが半分以上を占める。

独立社外取締役は企業OBが多い
●独立社外取締役の属性
注:2016年、東証上場企業が対象

 酒井社長は外資系コンサルティング会社の出身。コンサル時代は企業の幹部人材の紹介ビジネスを担当したが、せっかく紹介した優秀な人材を生かせない日本企業が目立った。そこで「日本企業の経営を変えるには、まず取締役会を変えなければならない」と思い、08年にコーポレートガバナンス専門のコンサルティング会社として、プロネッドを立ち上げた。