この耳かきを足掛かりに高部社長は生活用品の開発を本格化させる。

 重視したのは、耳かきと同様に、それまでの商品に対して利用者が感じている不満や不便を解消することだ。まず使い勝手と安全性を兼ね備えた新しい給食調理用の器具を開発して、商品化していった。

 例えばお玉では、持ち手とすくう部分の間にある継ぎ目のボルトやねじをなくした一体構造を採用。汚れがたまりにくくなるため衛生的で、割れや削れなどによる異物混入のリスクも抑えられる。揚げ物などをすくう片手すくいアミでは、一体構造に加えて、持ち手に指の形状に合わせた凹みを付けて持ちやすいようにした。調理担当者の負荷を軽減するためだ。

 かゆいところに手が届く細かな工夫が支持されて、販売は徐々に拡大していった。このような経験を生かして、レーベン販売は家庭向けの商品開発も本格化させる。

 その一例が、離乳食用のステンレス製の一体構造のスプーン。それまで乳児用スプーンで多かったプラスチック製とは違い、硬い先端部分で離乳食を切ったり、つぶしたりしやすいことに加え、高温の食洗器に入れても、安全に洗浄できる特徴が支持を集めた。

 それでも「最初は売るのが大変だった」と高部社長は語る。新しいアイデア商品の特徴を理解してもらうためには、店頭での紹介方法やパッケージの説明を工夫する必要があったからだ。

 それは最近力を注いでいるピーラーでも同じだ。なじみのない機能なので、パッケージに使い方や削った野菜を使うレシピなどを載せた小冊子を付けるなど工夫を凝らしている。

 さらにピーラーの販売促進では、大手食品メーカーとも連携する。ピーラーで野菜の切り方が変わると新たなレシピが生まれるからだ。冒頭の「大根麺のカルボナーラ」のような料理では、パスタソースをつくる食品メーカーとの相乗効果が期待できる。

17年だけで30件の特許取得

 高部社長は「アイデアは勝手にやってくる」とこともなげに話す。17年だけで30件の特許を取得するなど、高部社長のユニークな発想がレーベン販売の競争力の源泉になっている。

 耳かきから業務用や家庭用の調理器具へと事業領域を広げてきたレーベン販売。だが、ステンレス製で長期間使える高品質な製品は、丈夫なだけに買い替え需要が限られており、足元では売上高が伸び悩む。そこで「今は次々買い足す消耗品の市場を狙っている」(高部社長)。

舌の汚れを除去するクリーナー。ヘルスケアなど消耗品分野に力を入れる(写真=竹井 俊晴)

 その一つが口臭の原因になる舌の汚れを除去するクリーナー(上の写真)。薄くて柔らかい樹脂素材を使っており、「おえっ」と吐き戻す感じが少ないという。健康にいいとされる「鼻呼吸」を促進するテープも商品化。ヘルスケア市場の開拓を進めることで、安定的な成長の実現を目指す。