「投資家がESG投資を評価する機運が高まっており、活動をアピールしてはいるが、ほとんどは昔から続けていること」と語る高原社長。国内で続けているウオーキングイベントも同様だ。大人用紙おむつは利用率が低く、消費者の心理的な抵抗が強い。元気で活発な高齢者のライフスタイルを提案することが、同社の市場開拓につながるのだ。

 日本は世界の中でもいち早く高齢化している。現在、注力している日本市場での大人用おむつ市場の開拓は、中国などアジアをはじめとして、これから高齢者が増える海外での市場開拓につながる。「これが次の事業の柱になる製品です」(企画本部の社員)

 これまでユニ・チャームの海外事業の強みは、競合に比べて商品分野を絞り込んで「一点突破」する勢いにあった。だが今後は海外でも市場が成熟して、多様なニーズが生まれてくる。ウイングを広げながら従来の突破力を保てるか。ここでも新たな成功パターンが求められている。

INTERVIEW
高原豪久社長に聞く
紙おむつリサイクルが当たり前の世の中に
(写真=陶山 勉)

 これからは新事業の開拓にも力を入れていきたい。一つは弊社が長年、集中して取り組んできた不織布の強みを生かしたもの。ペット用おむつなどがその一例だ。

 もう一つ、事業化したいと考えているのが、鹿児島県志布志市で研究している紙おむつのリサイクルだ。使用後にゴミとなった紙おむつを分別回収して処理し、紙おむつの原料として再利用する。ゆくゆくはパテントフリー(ライセンス料無料)にして技術を輸出し、世界でおむつのリサイクルが当たり前になるようなムーブメントを起こしたい。

 水分を含んだ使用済みおむつの処理は高温の焼却炉や助燃剤などが必要になる。新興国などごみ処理のインフラが未成熟な国では、問題が深刻になりかねない。

 現在は実証実験段階だが、2020年には事業化に踏み切りたいと考えている。ユニ・チャームとしてもリサイクルが普及したほうが原料の確保がしやすくなるはずだ。それが最終的に、消費者の幸せにつながるのではないか。

現地生産と輸出を両輪で

 海外展開もまだまだ広げていく。アフリカや南米など、多くの進出余地がある。製品別に見れば、ペットケアや大人用おむつなどは国内でも市場を開拓している段階だ。

 海外展開も新事業も、まずは健やかな生活や清潔な環境といった価値観を消費者に啓蒙するところからやっていく。そのことによって、当社が生理用品や紙おむつといった製品で売り上げを伸ばしてきた。こうした製品を使う現代的な生活スタイルが浸透することが事業の前提になるからだ。

 インドネシアなどは、世界の同業大手が参入してきて、一時的に価格競争のためのマイナス要因は発生する。しかし商品の選択肢が増えて、市場が拡大するので、長期的にはプラスになるはずだ。生理用品や紙おむつの利用率は日本に比べてまだまだ低く、市場成長の余地は大きい。

 中国も同様だ。中国市場では想像以上に日本製の商品が売り上げを伸ばし、反対に中国で製造した商品の信頼が低い状態ではある。しかし、地方はまだまだ生理用品や紙おむつの利用率は低く、主に売れているのは現地生産品だ。これから現地生産品も成長するはずだ。当社は日本からの輸出と現地生産の両輪で現地の消費者ニーズに応えていく。

 日本では例えば低体重で生まれた赤ちゃん用の紙おむつや、おむつ離れを練習する製品など、新しい使い方ができる製品市場を開拓している最中。こうした商品も、いずれ海外へ輸出していく。

(談)