中国都市部の市場は地方と全く異なる
●読み違えた中国の消費者心理
日本製の「ムーニー」シリーズの輸出をはじめ、中国などへの輸出を強化していく方針

 ユニ・チャームはこのような日本製品の需要を一過性と見たが、ライバルの花王は継続すると判断。花王は12年に社長就任した澤田道隆氏の指揮により、日本国内で工場を新設して、日本製紙おむつの輸出力を強化した。もともと花王は、ユニ・チャームに比べてアジア展開で大きく出遅れていたのだが、中国向けの新戦略が奏功し、花王の中国シェアは17年に11.1%と2位に迫る急成長を遂げた。

 ユニ・チャームも方針を改め、15年には越境ECを本格化。16年には中国の富裕層を意識して、オーガニックコットンを使った「ナチュラル ムーニー」を発売した。その成果もあって、17年12月期のアジアの売上高は8%増。苦戦していた中国事業の増収が大きい。輸出力を強化するため、福岡県苅田町に新工場の建設も決めた。18年夏にも稼働する見込みだ。

 株価は同期の業績を発表する前の2781円(2月15日終値)から、発表後には2949.5円(2月16日日終値)まで上がり、一定の市場の評価を得た。4月になっても株価は終値で2950~3100円の範囲で推移し堅調だ。

 みずほ証券の佐藤和佳子シニアアナリストは「中国市場では利益を度外視してでもシェア拡大に努める必要がある」と厳しく指摘しつつ、「新工場が動き出せば、中国などでの立場はいい意味で大きく変わる」とも予想する。

17年は増収増益に戻った
●ユニ・チャームの通期業績の推移(日本会計基準)

このままでは終われない

 「中国、好調ですよ!」。4月下旬に自社が主催するウオーキングのイベントに参加した高原社長。記者を見つけると、すれ違うときに、こんな言葉を放った。この数日前のインタビューで中国市場について繰り返し質問したことを覚えていたようだ。

 ライバルに中国でリードを許してしまったままにはしない。これからの成果を見ていろ──。そんな、巻き返しに向けた思いがにじんでいた。