利益面では脱金融・不動産

リーマンショックからV字回復を遂げた
●オリックスの連結純利益の推移

 オリックスの17年3月期の事業別利益を見ると、コンセッションや再生エネルギーを手掛ける事業投資部門が20%を占め、かつての稼ぎ頭だった不動産や法人向け金融事業を上回る。

 事業の新陳代謝を早めるために、成長性がピークを過ぎたと判断した事業の撤退も早い。例えば海運業が好調だったリーマンショック直前に、船舶リース関連の事業を売却。当時、常務執行役として売却を担当した井上社長は「安く売ったと言われたが、市況悪化の難を逃れられた。売ると決めたらやはり売るのが当社」と振り返る。

 そうして、新規事業に挑む際は「素早い判断で先行者利益を取る。現場社員の意見を聞いてすぐに私が判断を下すことがある」。井上社長はこう話す。典型例が地熱発電への取り組みだ。

地熱発電所に足しげく通い、事業構想を練った田巻秀和氏(写真=松隈 直樹)

 「再生エネルギーで地熱の時代が来る」。5年前、経営企画室に所属していた田巻秀和氏は社内で力説して回っていた。11年に起きた東日本大震災の影響で再生エネルギーに対する需要が高まっていた。しかし、天候や時間帯などにより発電量が大きく変動する太陽光や風力だけでは電力供給の安定性に欠ける。

 それに対し、地熱発電は地中から噴出する蒸気を利用するため、安定電源となる。火力発電などに比べて出力は小さいが、火山活動が活発な日本の地熱資源は米国、インドネシアに次ぐ世界第3位とされる。商機は来るとの見立てがあった。

 地熱発電の適地には温泉があることが多い。建設には、地元の温泉組合の許可が必要。国内で大規模な発電所を建設する場合は大がかりな環境アセスメントも求められる。こうした参入障壁があるものの、発電した電力はFIT(固定価格買い取り制度)の恩恵を受けられる。中規模事業なら国内トップを狙えると目星を付けた。

 IT(情報技術)関連のコンサルティング会社から転職し、それまで不動産向けファイナンスに従事していた田巻氏は、電力に関しては門外漢。それが地熱参入を提案して程なく12年末に環境エネルギー本部に異動。翌13年9月には経営会議を通り、新事業を立ち上げた。

 現在の地熱部隊は9人。東京・八丈島の地熱発電所の運営権を取得したほか、北海道や東北で掘削調査を進めるなど急ピッチで事業を進める。狙うのは世界だ。「小規模でも成功例を日本で作り、開発余地が大きいインドネシアやアフリカへの展開につなげる」(錦織雄一・取締役兼専務執行役)