再生エネルギーに空港や水族館の運営……。事業領域はあらゆる方向へと広がる。祖業はリースだが、もはや金融業の範疇には入らない。変わり続けることが特徴だ。リスクを取って新事業を開拓する。素早い経営判断と適切な人材配置がカギとなる。

(日経ビジネス2018年4月30日号より転載)

水族館の運営も手掛ける。写真は東京・墨田のすみだ水族館 (上) 太陽光発電量では国内トップ(中)コンセッションにより国内3空港の運営を手がける(下)(写真=下:m.Taira/PIXTA(ピクスタ))

 Do you know ORIX?(オリックスを知っている?)

 大リーグのシアトル・マリナーズで活躍するイチロー選手が挑戦的にこう語りかけてくる広告が、昨年からテレビCMやネットなどで流れ始めた。

 2017年3月期の連結純利益が2732億円と、日本の上場企業トップ15位に位置するオリックス。しかし、いざ何をやっている会社かと聞かれると、一言で答えるのは難しい。同社の井上亮社長でさえも「経営スタイルが同じ会社が他にないから、いつも説明に困る」と苦笑いする。

 一般分類では「その他金融」に入る。祖業であるリースが依然主力ではあるが、生命保険や個人向けカードローンなど金融分野で多角化を進めてきた。

 そのオリックスが新たな展開を加速している。11年から強化してきたメガソーラー(大規模太陽光発電所)はその一つ。物流施設の屋根などに設置する太陽光発電も含めると全国約600カ所に建設し、国内の事業者による太陽光発電量1位に躍り出た。

 一方で、経営難の老舗旅館立て直しに動き、「すみだ水族館」も運営する。次々と新規事業に挑み、カメレオンのように会社の姿を変えていく。

 新たな事業に乗り出すことで業績を伸ばし、18年3月期の純利益は過去最高の3000億円を見込む。増益はこれで9年連続となる。

 経営環境が常に変わり続けるなか、現状の事業に固執すると企業は衰退する。成長分野をいち早く見つけ出し、事業を入れ替えることが企業の活力につながる。オリックスはそれを実践することで成長を目指してきた。

空港に続き下水道運営も

 4月9日、神戸空港(神戸市)で関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)や自民党の二階俊博幹事長ら政財界の大物が顔をそろえる盛大な式典が開かれた。滑走路などの所有権を国や自治体に残したまま運営権を民間に売却するコンセッション方式でオリックスが空港運営を開始したのだ。