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駅構内、あふれ返る乗客

 「朝の通勤ラッシュと観戦客の移動が重なると、東京駅では普段の2.5倍、永田町駅では3.2倍の乗客が駅構内にあふれ返る」。中央大学理工学部の田口東教授は指摘する。田口教授は鉄道利用をめぐる国土交通省の実態調査や大会招致時の開催計画などを独自の数理モデルに当てはめ、駅構内に滞留する利用者が平時よりどれだけ増えるのかシミュレーションした。そこから浮かび上がったのが、競技会場近くの駅だけでなく、通勤客の多い東京駅や新宿駅でも普段の2倍を超える人々が構内にあふれる可能性だ。

 首都圏で通勤・通学に電車を使う人は約800万人。これに対し五輪の観戦客は多い日でも約65万人と、それほど多くないようにも思える。朝でなければ、東京の交通網にもまだ余裕がある。

道路交通も対策が不可欠
●道路交通をめぐる組織委の試算と計画
平日の混雑を避けられるかが課題に
●東京五輪の開催スケジュール
注:2020年に限り、海の日(通常は7月第3月曜日)を7月23日に、体育の日(同10月第2月曜日)を7月24日に、山の日(同8月11日)を8月10日に移す特別措置法が18年6月に成立している。

 だが33競技339種目(オリンピック)を短期間に詰め込む大会の性格上、朝一番に始まる競技も多い。たとえば東京都心に位置する新国立競技場で実施される陸上の競技は、10日間のうち8日は午前9時までに開始予定だ。

 しかも通勤客と違い、不慣れな外国人客は駅構内で立ち止まることも多いだろう。観光庁が17年秋に実施した訪日外国人向けアンケートでも、「旅行中最も困ったこと」として公共交通を挙げたのは12.7%。施設別の回答としては飲食店や宿泊施設の情報入手(3.1%)や医療機関の受診や保険関連(1.7%)を上回った。