「所有」から「利用」にシフト

 若者世代の消費の変化の中で、もう一つ目立つのは、モノを「所有しない」人が増えていることだ。

 その象徴ともいえるのが、シェアリングサービス。収入が限られていても、借りて「利用」するなら手ごろな価格で楽しめる。リーマン以降、可処分所得が減る傾向にある若年層は、そんなサービスに強い関心を示している。

 昨年秋、自転車販売ベンチャーのちゃりカンパニー(さいたま市)は高級自転車のシェアサービス「スニークルロングタイムシェア」を始めた。一般的な時間貸しサービスと違い、自転車を自宅に持ち帰り、購入した場合と同じように利用できるのが特徴だ。

 会員として登録すれば、買えば20万円程度する高級タイプの自転車を月額3480円(税込み、以下同)からレンタルできる。「初期費用が高いと手が出ないが、シェアリングでこの値段ならと利用してくれる人が多い」(同社)という。現在は東京23区限定だが、関東を中心に順次エリアを拡大する計画だ。

ちゃりカンパニーの「スニークルロングタイムシェア」では高級自転車をレンタルできる

 自転車に限らず、高級品はかつて自分で所有することがステータスだった。だが、今の若者は所有にこだわらない。ジャパンネット銀行が、18~25歳を対象に今年行った調査では、モノのシェアサービスを「利用したい」と答えた人が6割超。価値観は変化している。

 所有より利用を重視するということは、所有することに慎重になっていることの裏返しでもある。

 パワフルな吸引力で知られる英ダイソンの掃除機。主力商品が4万~10万円と日本メーカーと比べて高いため、若年層も視野に、昨年末からレンタルサービスを始めた。月額1080円からダイソンの掃除機を利用できる。ダイソン自身が、掃除機メーカーから、掃除を助けるサービスを提供する企業へと変わろうとしているともいえる。

 若者が購入を減らしてる衣料品が主力の百貨店大手も動いた。三越伊勢丹ホールディングスは、8月から三越銀座店で、結婚式やパーティー向けのドレスやワンピースのシェアリングサービスを11月までの期間限定で開始。売り場で気に入った商品を試着し、スマホのアプリで商品のQRコードを読み込めば、必要な時に自宅に配送してもらえる。2泊3日で約1万3000円~で、送料やクリーニング代も含まれる。

 「百貨店にあまり足を運ばないミレニアル世代の若い女性を新規顧客として獲得したい」。三越銀座店の東海林憲昭店長はこう強調する。30歳未満の単身世帯の1カ月当たりの洋服関連の支出は、10年で3~5割減少しているとされる中、対策は待ったなしだ。