リーマンショック後に強まった節約志向で、消費者の財布のひもは固い。とりわけ消費の主役になろうとする若者の心をつかむのに企業は必死だ。「所有から利用」「コミュニティー化」などの変化への対応が欠かせない。
(日経ビジネス2018年9月24日号より転載)

若者世代へのアプローチが一筋縄ではいかなくなっている」。ローソンの野辺一也マーケティング本部長はこう悩みを打ち明ける。かつてコンビニエンスストアの中核顧客だった若者が来店客に占める比率は、低下する一方だからだ。
ローソンでは現在、30歳未満の比率は全体の約15%。同社は明かさないが同業他社の数字を参考にすると、10年で半分程度に減ったとみられる。もちろん少子高齢化の影響もあるが、若者のコンビニ離れはそれ以上に深刻だ。
なぜなのか。2008年のリーマンショック以降に成人を迎えた若者世代は節約志向が強い。不況で給料が伸び悩む一方、非正規雇用も増加。09年以降の5年間で、30歳未満の単身世帯の1カ月当たりの消費支出は、男性で約13%、女性で約7%も減少した。
だからこそ飲料から食品まで定価販売が中心で割引された商品が少ないコンビニは苦戦。値引率が高いドラッグストアやスーパーに客が流れている。
台頭するミレニアル世代
しかも20代を中心とする若年層は、消費行動が以前の世代とは違う。インターネットや携帯電話、スマートフォンが当たり前の時代に育ち、情報の集め方や、消費の意思決定の仕方が変化しているからだ。欧米でも00年以降に成人を迎えた「ミレニアル世代」と呼ばれる若年層の消費行動が同様に注目を集めている。
そんな新世代が年を重ね消費の主役に躍り出ようとしているだけに、企業は彼らを取り込もうと必死に知恵を絞っているのだ。
「もうマスマーケティングだけでは若者の心はつかみきれない」。ローソンの野辺マーケティング本部長はそう考えている。そこで従来の販売促進の手法を見直し、特定の層を狙って訴えかける戦略に注力する。
ミレニアル世代
とは
1980年代以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えた世代を指す。米国で注目を集め、日本でも関心が高まっている。インターネットや携帯電話(スマートフォン)が当たり前の時代に育ち、消費行動がそれ以前の世代とは異なるとされる。「情報感度が高い」「仲間とのつながりを大事にする」「物質主義的でない」などの特徴があるとされる。
●モノのシェアサービスに対する意識(18~25歳)

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