企業と学生の出会い方は今や、「エントリーシートとインターンシップ」だけではない。企業と学生をつなぐ様々な新サービスが生まれ、企業の採用活動の多様化も進む。学生も企業も、新たな選考ルートを活用せずして理想の就活は実現しない時代になりつつある。

(日経ビジネス2018年7月16日号より転載)

(写真=Bloomberg/Getty Images)

 「先日は機械学習のフローを勉強しましたが、今回はPythonを使って実際に実装してもらいます」

 6月、都内某所。40人ほどの大学生が講師の指示に従い一斉にプログラミングを始める。どの学生も必死だ。

 これは、就職情報サイト「シンアド」を運営するホールハート(東京・渋谷)が主催する就活生向けプログラム。参加費用は1万円で、8月までの3カ月間でAI(人工知能)エンジニアになる上で必要なスキルを一通り学べる。募集枠40人に対し100人を超える申し込みがあった。受講するのは、主に大学3年生や大学院1年生のいわゆる「20採用」の就活生だ。

 AI時代を迎える今、プログラミングの知識が就活でも有利に働く可能性は高い。が、このプログラムが応募倍率2.5倍の人気となったのにはもう一つ、大きな理由がある。NTTデータやサイバーエージェント、カルチュア・コンビニエンス・クラブといった企業が協賛し、受講期間中に企業との懇親会がセッティングされていることだ。

 経団連の指針では、「会社説明会の解禁は2019年3月から」「面接などの選考は同6月から」などとされている就活ルール。だが多くの企業は解禁日を待たずして、学生との接触を始めている。このプログラムもまた、インターンシップと並ぶ企業との事前接触の一ルート──。参加者の多くはこう読んでいるわけだ。

進む「就活前哨戦」の複線化

 夏から始まるインターンシップを前哨戦に、翌春からの企業説明会・エントリー・選考の本戦に駒を進める。これが就活の基本スケジュールだが、とりわけ前哨戦の部分は、ここへきて複線化している。「協賛勉強会」に加え、企業の中で活用の動きが目立っているのが「専用の学生接触サービス」だ。

 就職支援サービス企業、デアイバカンパニー(東京・千代田)が提供する「出会いの場」はその一つ。学生たちに複数回のGD(グループディスカッション)を実施してもらい、そのもようを人事担当者が観察するというものだ。「これは」という学生がいればスカウトして構わない。実際、都内私立大4年生のAさんは、昨年の「出会いの場」への参加を機に、大手企業の内定を取った。

 3年生の冬ごろから就活を本格化させたAさん。「恥ずかしさもあって気後れしてしまい、うまく他の人の会話に入っていけない」と、本戦の行方を大きく左右するGDに苦手意識があり悩んでいた。そのことをアルバイト先の同僚に話したところ、「デアイバに行くといい」とアドバイスされた。

 その意味では企業との接触というより、純粋にGDの練習目的で参加したわけだが、結果として企業の人事担当者から「選考に来ませんか」と事実上、見初められる。苦手のGDに勝負がもつれ込む前に企業との接点ができ、がぜん有利な展開になった、と自覚しているAさんだ。