技術分野まで外部人材を活用

 「○時間後にレジ修理の人員が伺います。それまでは他のレジで乗り切ってください」

 ランキング10位に入った人材派遣会社、エスプールは、あるコンビニエンスストアチェーンの店舗従業員向けにサポートコールセンターを17年から開いている。レジの故障や冷蔵庫など設備の不具合、車が店舗にぶつかってくるといった事故への対応など、様々な緊急事態に関する店舗からの問い合わせに即座に答えるのが役割だ。

 「狙いは店長が販売や商品発注などの重要業務に集中できるように他の仕事を軽減すること。競争が一段と激しくなる一方で人手不足が深刻化していることが当社の追い風になっている」と浦上壮平会長兼社長は言う。

 業務の外部化では今、もう一つ大きな変化が起きている。企業の中核となる技術などの分野まで「外部化」が広がってきたのだ。

 前出のアウトソーシング社では工場従業員に加え、ここ4年ほど、自動車メーカーなどへの技術者派遣が大きく増えている。もちろん、技術者派遣自体は、以前から専門の会社もあり、珍しくはない。しかし、これまではレベルの高い層で特定の分野を担当してもらうためといったものが多かったが、最近は変わってきたという。

 自動運転やIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)など、産業構造を一変させかねない技術の急速な進化で、自動車などの大手メーカーは激烈な競争を繰り広げている。そこに自社の技術者を大量投入するために「その他の分野の一部を外部技術者に任せ始めるといったことが起きている」と土井社長は言う。

 技術分野の外部化の動きは、様々な市場に広がっている。9位のジャパンマテリアルもそれをてこに成長している企業だ。同社は三重県四日市市で大手半導体メーカーの工場などのガス配管に特殊ガスを送り込む分配機メーカーとして1997年4月に創業した。やがて機器だけでなく、配管の敷設から管理・運営まで一括して請け負うようになり、扱い品目は純水や多様な薬液にまで広がっていった。

 だが、同社の成長に弾みがついたのは、半導体・液晶工場でも中核的な業務を多数請け負うようになったためだ。近隣にあった大手電機メーカーの半導体工場が撤退したのを機に2014年春から、同社の技術者を大量に引き受け始めた。その人材を活用して半導体製造装置の保守・メンテナンスに乗り出したのだ。さらにその後、液晶工場でも同様に製造装置の保守・メンテナンスを一括して頼まれるようになった。

 背景にあるのは半導体や液晶メーカーの技術者不足。「ここ数年の半導体需要の持続的拡大などで、半導体メーカーなどの技術者が足りなくなり、一部を外部に任せる動きが大きく進んだ」と同社の田中久男社長は言う。

 技術の急速な進化や人手不足、競争激化などの環境変化の中で単純労働から中核分野まで外部化が進む。経済のオープン化という変化が、こうした企業の株価を押し上げてきたのである。

 外のリソースを取り込む動きは次の段階に進みそうだ。大企業がベンチャーや中小・中堅企業の力を借りる事例も増えてきている。両者を結びつけているのは競争が激化する最先端技術の開発だ。例えば、27年の開業を目指すリニア中央新幹線。その中核である磁気浮上装置に使う電源などを子会社で開発していることで市場の注目を集めたのが、ランキング28位のアドテックプラズマテクノロジーだ。

1g作って0.1gずつ出荷

 事業の柱は、半導体や液晶の薄膜生成などに用いる高周波電源の開発・製造だ。イオンと電子が混合したプラズマを発生させて成膜する際などに使うもので、同社は多くの特許を保有する。投資家の支持が集まったのは、「今後、様々な用途にプラズマが使われる可能性がある」(藤井修逸社長)からだ。「リニア新幹線の浮上装置の電源は、半導体インゴットを生成する際の装置にも応用できるばかりか、その生産効率を大きく上げられる」(同)ともいう。

半導体からリニア新幹線まで用途が広がるプラズマ高周波電源(下)を開発するアドテックプラズマテクノロジーの藤井修逸社長(写真=下川 高広)

 アドテックもそうだが、市場から高い評価を受ける中堅企業の多くは、特定分野で顧客や大企業と深く結びついて圧倒的な強みを築いている。12位のトリケミカル研究所や7位の日本ライフラインもそうした企業だろう。

 トリケミカルは半導体製造などの際に使う高純度化学品を開発・生産している。「ものによっては月に1g生産して0.1gずつ出荷することもある」(太附聖社長)というニッチな分野に特化しているのが特徴だ。

 例えばここ十数年、半導体の集積度は急速に高まった。回路などの微細化を進めるために、「工程の一部で特殊な薬品を使う必要が出てきた」(太附社長)。それを開発してきたのだ。

 市場自体は小さいので大手化学品メーカーは入ってこない。18年1月期の売上高は5年前から倍増したが、それでも64億4500万円。注目すべきは24.8%に達する営業利益率だ。独自技術が利益率の高さにつながっている。半導体メーカーとはほぼ一体で動き、「将来の半導体の研究・開発に使う薬品を開発してきた」と太附社長は言う。市場の活況を半導体メーカーとともに作り、圧倒的な強さを構築したのだ。