なぜ、費用に差が出るのか

 明細を細かく見ると、整備にかかる基本料金が2万6000円と、これだけでガソリンスタンド系工場の2倍強。チェーンショップ系でも1万5000円だったから、断トツに高い。他の2軒では基本料金内だった「検査代行料」も別途、1万2000円かかるという。「リアホイールから異音がする。ベアリング(軸受け)を交換した方がいい」など、他の2軒では聞かれなかった指摘も受けた。

 なぜ、ここまで差が出るのか。

 車検ビジネスに詳しい一般財団法人日本総合研究所の佐藤和彦・主席研究員は、「部品交換の基準は整備工場や整備士でバラバラだからだ」と指摘する。

 例えばブレーキパッド。薄くなってブレーキが利かなければ車検は通らないので、ある一定の薄さになれば、交換する部品だ。だが、ブレーキが十分に機能しているならば、その厚みが3mmで交換するのか、1mmなのかは判断が分かれるところ。減り具合も日頃どれだけ運転するかに加え、運転する人のブレーキのかけ方でも変わるだけに、確かに明確な基準は設けにくい。

 ある地方の整備工場の担当者がささやく。「こちらも商売。いかに必要かを納得させて交換を促すかの技量が問われる」。ユーザーの無知につけこんで、替えなくてもいい部品を押し込むことも可能というわけだ。

 こんな不透明な料金体系がまかり通る背景を探る前に、そもそも車検制度とは何なのかを整理しておこう。

部品交換の基準や作業料金がまちまち
●2年に1度実施する車検の流れ
部品交換の基準や作業料金がまちまち<br /><small>●2年に1度実施する車検の流れ</small>
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 車検は自動車検査登録制度の略語と言われている。自家用車の場合、新車登録から3年経過したとき、さらに以後2年ごとに行う「継続検査」のことを指す。車両が道路を安全に走行できるか、排ガスなど環境基準を満たしているかを確認。問題がなければ、重量税、自賠責保険料、印紙代の「法定費用」を納めて、車検合格となる。

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