自家用車の保有者が定期的に通す車検。その費用の高さに驚くことはないだろうか。昨年の自動車大手の完成検査問題の背後にも、この車検制度が深くかかわっている。そもそも車検って、何で必要なんだ? 実車を持ち込んで実態に迫ってみた。

(日経ビジネス2018年5月14日号より転載)

(写真=SOURCENEXT CORPORATION/amanaimages)

 「ウチは格安車検です」「安くて早い車検です」

 こんな広告やチラシにつられて、「それならば」と車検業者に自家用車を持ち込んだものの、その費用を聞いて驚いた読者もいるだろう。しかも、その料金は業者によってかなり違う。部品の交換を迫られ、追加料金も取られてしまう場合も多い。

 国民生活センターにはそんな車検に絡む相談が毎年700件程度、寄せられている。「高止まりしており、減る気配はない」と同センター相談情報部の藤田大幹氏は明かす。インターネット上での価格比較サイトもあるなかで、なぜ、ユーザーが不満や疑問を抱くような料金設定がまかり通るのだろうか。

 その実態を知ろうと、新車登録してから13年経過した乗用車を、3カ所の整備工場に持ち込んでみた。

 まず、訪れたのはガソリンスタンドが運営する整備工場。1時間足らずで出してくれた見積書の料金は7万642円だった。エンジン冷却水やブレーキオイルの交換のほか、ワイパーのゴム劣化などを指摘された。

 同時に4万2000円と記された、もう1枚の見積書も提示された。「車検を通すために必要な最低限の部品交換なら、この料金です」と担当者。指摘されたすべての部品や消耗品を交換・購入すれば、1枚目の料金になるが、「どちらにするかは、お客様の判断です」(担当者)。

 次に訪れたのは、車検チェーンショップ系の整備工場。ここでの見積額は9万7678円だった。ガソリンスタンド系では指摘を受けなかった複数のゴム部品の交換費用が含まれていた。さらに、点検するために車を持ち上げる機械の使用代、3240円も別途請求された。

 最後に訪れたのは、持ち込んだ乗用車メーカーのディーラーだ。ここではまず、「見積もりを取るのに8640円の費用がかかる」と説明を受けた。それでも依頼して1時間以上待って出てきた見積額は16万8404円。最初に訪れたガソリンスタンド系の2倍以上に膨らんでいた。

10万円の料金差があり、箇所もバラバラ
●同じ車を見積もりに出した車検料金例
約10万円の料金差 ディーラーA社 見積額 :168404
交換指摘箇所:ホイールベアリング、点火プラグなど
チェーンショップB社 見積額 :97678
交換指摘箇所:ブーツと呼ばれる複数のゴム部品など
ガソリンスタンドC社 見積額 :7642
交換指摘箇所:エンジン冷却水、ブレーキオイルなど