大手企業からの事業切り離しが当たり前になってきた。その多くは「非中核」事業。投資次第で成長の余地はある。成否のカギを握る条件は何か。3つのポイントが見えてきた。

(日経ビジネス2018年4月30日号より転載)

ファンド傘下で再スタートを切った富士通の携帯電話事業。決起集会には数百人が集まった(写真=加藤 康)

 新年度が始まったばかりの4月5日。JR南武線の武蔵中原駅前にある福祉施設の大ホールには、数百人のビジネスパーソンが集まっていた。

 開かれたのは、3月末に投資ファンド、ポラリス・キャピタル・グループに傘下入りした富士通の携帯電話事業の決起集会だ。登壇したポラリスの木村雄治社長は「永続的に成長するオンリーワン事業体を目指す」と宣言。さらに「魂がない計画では意味がない。成長戦略立案に積極的に参画してほしい」と従業員の奮起を促した。

 2010年には東芝の携帯電話事業を買収、国内シェアで首位になったこともある富士通の携帯電話部門。だが、スマートフォン(スマホ)の爆発的な普及で米アップルなど海外企業が台頭。IDC Japanの調査によると、17年の国内販売台数は約271万台で、シェアも8%にとどまる。「スマホの波に乗り遅れ、ピーク時に比べて台数も売上高もほぼ半減した」と、再スタートを切る富士通コネクテッドテクノロジーズの髙田克美社長は悔しさをにじませる。

富士通はシニア層向けの「らくらく」シリーズが強み(写真=スタジオキャスパー)

 ジリ貧にも見えるが、7割を出資するポラリスの木村社長は「成長性は十分」と強気だ。中核製品に据えるのが「らくらく」シリーズ。機能を絞り込み、操作が簡単な同シリーズはシニア層の間で支持されている。無料で展開するコミュニティーサイト「らくらくコミュニティ」の会員数も120万人を超えており、スマホ販売にとどまらず、ヘルスケアなどのサービスを組み合わせれば新たな成長を果たせるとにらむ。

 この富士通の携帯電話部門のように、大手企業から「非中核」事業として切り離される部門は今や珍しいことではない。資金の出し手となる投資ファンドが日本で根付いてきたことが背景にある。複数の企業間での事業統合やMBO(経営陣が参加する買収)といった例も増えている。