2013年に、トヨタ自動車グループの世界生産台数が、世界の自動車メーカーで初めて1000万台を超えるなど、日本を代表する製造業である自動車産業。その一方で、国内市場では軽自動車がシェアの約4割に達し、若者のクルマ離れが話題になるなど、クルマという商品がコモディティ化し、消費者の関心が薄れていると指摘されている。しかし、燃費向上競争の激化や安全性向上ニーズの高まり、さらには今後の自動運転技術の実用化に向けて、外からは見えにくいクルマの内部では大きな変化が起こっている。このコラムでは、クルマのテクノロジーに関する薀蓄(うんちく)を「うんテク」と命名し、自動車エンジニアの見えざる戦いの一端を紹介したい。
シリーズ
クルマのうんテク

190回
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スピード感が足りないホンダの社長会見
「スピード感が足りないのではないか――」。2023年4月26日に東京都内で開催されたホンダの社長会見に出席しての感想だ。この日、ホンダは「2023 ビジネスアップデート」と題する社長会見を実施した。2021年4月に社長に…
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新型プリウスPHEVは今の日本の現実解
既にこのコラムの「新型プリウスは走らせても『4ドアスポーツカー』か?」で新型「プリウス」PHEV(プラグインハイブリッド車)のクローズドコースでの試乗記を紹介したが、そのプリウスPHEVが3月15日に発売され、公道での試…
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大人になった「インプレッサ」、正常進化だが燃費には物足りなさも
このコラムの「派生車種から主役になったスバル『クロストレック』」で紹介したスバルの新型「クロストレック」が正式に、4月18日に発売された。そしてその兄弟車種である「インプレッサ」も4月20日に発売された。
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メルセデス・ベンツに見る「ビークルOS」の実像
いささか旧聞に属するが、2023年2月下旬、ドイツMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は2024年に導入するエントリークラスの新しい電気自動車(EV)プラットフォーム「MMA(Mercedes Modular…
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欧州の合成燃料容認をどう考えるべきか?
欧州連合(EU)理事会は、2035年にエンジン車の新車販売を禁止するというこれまでの方針を撤回し、カーボンニュートラル燃料のみを使用する車両であれば販売を容認することを正式に決定した。
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マツダ「CX-60」、街乗りで課題残る“素のディーゼル”
マツダが総力を結集して開発した直列6気筒エンジンを縦置きに搭載し、後輪駆動を基本とする新型プラットフォームを採用した新世代商品の第1弾である「CX-60」。
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日産がコスト3割減の次世代電動パワートレーン、米中のスピードに追いつけるか
このコラムの「独自色強める日産の事業戦略、CMF-EVは次世代へ」で紹介した日産自動車の電動化戦略の具体策が一部公開された。今回公開されたのは、次世代の電動パワートレーン戦略である。3月初旬に開催された説明会で日産がまず…
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テスラの次世代EVが採用する驚きのテクノロジー
この記事が掲載されるのは2023年3月中旬ごろだろうから、既に内容をご存じの方も多いと思うが、3月1日に開催された米Tesla(テスラ)の投資家向け説明会の内容には様々な意味で衝撃を受けた。
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独自色強める日産の事業戦略、CMF-EVは次世代へ
日産自動車は2023年2月27日、2021年11月に発表した2030年までの長期経営計画「Nissan Ambition 2030」の進捗状況を報告するとともに、2030年度までに投入する電気自動車(EV)の車種数を増や…
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EVバッテリー再利用の現状を福島で見る
日本人としてお恥ずかしい限りだが、2月中旬に東日本大震災後初めて、福島県を訪れた。震災前に2度ほど福島県を訪れたことはあったが、いずれも猪苗代湖周辺のいわゆる「中通り」や、会津若松などの「会津」で、海沿いの地域、いわゆる…
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恒例の輸入車一気乗り、印象に残ったクルマたち
やや旧聞に属するが、2023年2月初旬に恒例のJAIA(日本自動車輸入組合)主催の輸入車試乗会が開催された。今年は輸入業者16社が63台の最新の輸入車を持ち込んだ。多くの輸入車の魅力を体験できる貴重な機会であり、今回日経…
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新型プリウスは走らせても「4ドアスポーツカー」か?
トヨタ自動車が2023年1月に発売した新型「プリウス」にやっと試乗できた。このコラムの「ハイブリッドという金看板を捨てた新型『プリウス』」でも紹介したように、新型プリウスは、これまでの「燃費第一主義」から、「一目ぼれする…
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日産・ルノーの資本比率見直し、EV新会社「アンペア」への出資メリットは?
日産自動車とフランスRenault(ルノー)の提携の見直しが発表された。ルノーが日産への出資比率をこれまでの43.4%から15%に引き下げることや、これまで議決権が与えられていなかった日産の持つルノー株15%に、議決権が…
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自動運転用半導体でクアルコムが台頭、ソニー・ホンダも採用を発表
「CES 2023」を巡る話題を取り上げてきたこのコラムも、3回目の今回が最後になる。取り上げるのは、前回のセンサーと並んで自動運転の重要な要素技術である半導体の動向である。自動運転用半導体では、これまでイスラエルMob…
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LiDARの搭載が一気に拡大、「CES 2023」で各社が新型発表
前回のこのコラムでは、「CES 2023」で各社が出展した、新世代EV(電気自動車)のプロトタイプやコンセプトカーを紹介した。そこでも触れたように、完成車メーカー各社から2020年代半ばごろに新世代のEVが登場する予定だ…
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「CES 2023」で感じたEV新時代の幕開け
新年の仕事始めは、米国ラスベガスの「CES」から、というのが2015年以降の習慣になっていたのだが、新型コロナウイルスの影響で、2021、2022年は参加することができなかった。今年はさんざん迷ったのだが、年末までかかり…
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2023年は日本市場のガラパゴス化が進む年
皆様、新年あけましておめでとうございます。昨年は、当コラムをご愛読くださり、ありがとうございました。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
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立ち位置が難しくなった日産「アリア」
日産自動車のEV(電気自動車)「アリア」は、どうも運が悪いというか、気の毒な感じがする。新開発のEV専用プラットフォーム「CMF-EV」を採用した新世代EV第1弾であり、2010年に「リーフ」を発売した、EVではパイオニ…
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ルノーはなぜ独自ハイブリッドを開発したのか
この記事が掲載されてから数日のうちに、「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」が発表されるはずだ。日経BPの日経Automotiveが2021年からCOTYの主催メディアに名を連ねるようになった関係で…
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ハイブリッドという金看板を捨てた新型「プリウス」
2022年11月16日に発表された新型「プリウス」を見て、このクルマの開発者はどれほど苦悩しただろうかと、余計な心配をしてしまった。これまでプリウスは「HEV(ハイブリッド車)である」ということそのものが最も大きな存在理…
WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
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クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
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10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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