2013年に、トヨタ自動車グループの世界生産台数が、世界の自動車メーカーで初めて1000万台を超えるなど、日本を代表する製造業である自動車産業。その一方で、国内市場では軽自動車がシェアの約4割に達し、若者のクルマ離れが話題になるなど、クルマという商品がコモディティ化し、消費者の関心が薄れていると指摘されている。しかし、燃費向上競争の激化や安全性向上ニーズの高まり、さらには今後の自動運転技術の実用化に向けて、外からは見えにくいクルマの内部では大きな変化が起こっている。このコラムでは、クルマのテクノロジーに関する薀蓄(うんちく)を「うんテク」と命名し、自動車エンジニアの見えざる戦いの一端を紹介したい。
シリーズ
クルマのうんテク

175回
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「CES 2023」で感じたEV新時代の幕開け
新年の仕事始めは、米国ラスベガスの「CES」から、というのが2015年以降の習慣になっていたのだが、新型コロナウイルスの影響で、2021、2022年は参加することができなかった。今年はさんざん迷ったのだが、年末までかかり…
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2023年は日本市場のガラパゴス化が進む年
皆様、新年あけましておめでとうございます。昨年は、当コラムをご愛読くださり、ありがとうございました。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
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立ち位置が難しくなった日産「アリア」
日産自動車のEV(電気自動車)「アリア」は、どうも運が悪いというか、気の毒な感じがする。新開発のEV専用プラットフォーム「CMF-EV」を採用した新世代EV第1弾であり、2010年に「リーフ」を発売した、EVではパイオニ…
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ルノーはなぜ独自ハイブリッドを開発したのか
この記事が掲載されてから数日のうちに、「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」が発表されるはずだ。日経BPの日経Automotiveが2021年からCOTYの主催メディアに名を連ねるようになった関係で…
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ハイブリッドという金看板を捨てた新型「プリウス」
2022年11月16日に発表された新型「プリウス」を見て、このクルマの開発者はどれほど苦悩しただろうかと、余計な心配をしてしまった。これまでプリウスは「HEV(ハイブリッド車)である」ということそのものが最も大きな存在理…
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EVになってもVWらしさは変わらない「ID.4」
今、世界の自動車業界が電動化にひた走っているその震源地の1つは、間違いなくドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)である。2015年に発覚したいわゆるディーゼルゲート事件で、VWの信用は地に落ち、ダーティー…
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燃費は落ちるが「クラウン」らしい2.4Lターボ搭載の「RS」
当然のことだが、パワートレーンがクルマの印象に与える影響は大きい。そんなことをのっけから言うのは、トヨタ自動車の新型「クラウン クロスオーバー」のスポーティーグレード「RS」に試乗したからだ。
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ソニーGとホンダはどんなEVをつくるのか
戦後日本が生んだ代表的な企業2社が手を組んだ。果たしてどんなクルマが生まれるのか――。多くの読者も固唾をのんだのではないだろうか。2022年10月13日に開催されたソニー・ホンダモビリティ(SHM)の発足記者会見のことだ…
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派生車種から主役になったスバル「クロストレック」
もうクルマの主役はSUV(多目的スポーツ車)なのだな――。何を今更と思われる読者も多いだろうが、今回の試乗会でもそのことを実感させられることになった。SUBARU(スバル)の新型「クロストレック」のプロトタイプ試乗会での…
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「高級車とは何か?」について考えさせられた新型クラウン
トヨタ自動車の新型「クラウン」に試乗しながら、ずっと考えていたのは「高級車とは何なのか?」ということだった。読者の皆さんはとっくに承知と思うが、新型クラウンには「クロスオーバー」「エステート」「スポーツ」「セダン」の4つ…
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街中ではストレスフリーだが、高速ではやや頼りない新型「シエンタ」
2015年にトヨタ自動車のコンパクトミニバンである「シエンタ」が全面改良を受けて2代目になったとき、そのコンセプトカーがそのまま商品化されたようなデザインには驚かされた。
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e-4ORCEの威力に驚いた新型「エクストレイル」
2022年は日産自動車の“当たり年”になりそうだ。発売がずれこんでいた新型電気自動車(EV)「アリア」を5月に、新型軽EV「サクラ」を6月に、新型「フェアレディZ」を夏に、そして新型「エクストレイル」を7月に発売と、まさ…
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マツダ「CX-60」に公道で試乗、試作車両からキャラが変化
マツダの新型SUV(多目的スポーツ車)「CX-60」の発売日がついに発表された。まず排気量3.3Lのディーゼルエンジンに出力12.4kWのモーターを組み合わせた「e-SKYACTIV-D 3.3」のAWD(全輪駆動)仕様…
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米国でEVの普及を遅らせるインフレ抑制法
2022年8月16日に米国のバイデン大統領が署名したことで、歳出・歳入法(インフレ抑制法)が成立した。この法律が自動車関係者の間で注目されたのは、米国市場における今後のEV(電気自動車)の普及に大きく影響を与えるとみられ…
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新型「エクストレイル」がe-POWERとVCターボを組み合わせたワケ
これは内燃機関の最終進化形だな――。そう思ったのが、日産自動車が2022年7月25日に発売した新型「エクストレイル」のパワートレーンだ。日産のハイブリッドシステム第2世代「e-POWER」に、同社独自の可変圧縮比エンジン…
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ついに日本上陸、NEV世界最大手BYDの実力を試す
2022年7月21日、中国で電気自動車(EV)最大手の比亜迪(BYD)が、日本の乗用車市場に進出すると発表した。中国では、EVとプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)を新エネルギー車(NEV)と呼ぶが…
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新型「フェアレディZ」で感じた“鉄壁の安心感”
日本を代表するスポーツカーの1つである日産自動車「フェアレディZ」が全面改良した。型式は「Z34型(正確には先代のZ34に対して新型はRZ34型とZ34の派生モデル的な型式になる)」ということで先代と変わっていないし、プ…
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日産「サクラ」で感じた「軽+EVは最強の組み合わせ」
2022年、最も注目していたモデルが発売された。軽自動車EV(電気自動車)の日産自動車「サクラ」である。なぜ注目していたかといえば、このクルマが日本のEV市場を切り開くのではないかと期待していたからだ。
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あえてEVらしくしない「レクサスRZ」
前回のこのコラムではトヨタ自動車初の量産電気自動車(EV)「bZ4X」とSUBARU(スバル)「ソルテラ」の試乗記をお伝えしたが、今回は、レクサスブランド初のEV専用車種「RZ」について取り上げたい。
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意外と違うトヨタ「bZ4X」とスバル「ソルテラ」、長距離試乗で検証
既に報道されているのでご存じの読者も多いと思うが、トヨタ自動車とSUBARU(スバル)は2022年5月下旬~6月初旬に、両社にとって初の量産EV(電気自動車)である「bZ4X」と「ソルテラ」の合同試乗会を開催した。
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総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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テスラが仕掛ける電池戦争
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従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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