2013年に、トヨタ自動車グループの世界生産台数が、世界の自動車メーカーで初めて1000万台を超えるなど、日本を代表する製造業である自動車産業。その一方で、国内市場では軽自動車がシェアの約4割に達し、若者のクルマ離れが話題になるなど、クルマという商品がコモディティ化し、消費者の関心が薄れていると指摘されている。しかし、燃費向上競争の激化や安全性向上ニーズの高まり、さらには今後の自動運転技術の実用化に向けて、外からは見えにくいクルマの内部では大きな変化が起こっている。このコラムでは、クルマのテクノロジーに関する薀蓄(うんちく)を「うんテク」と命名し、自動車エンジニアの見えざる戦いの一端を紹介したい。
シリーズ
クルマのうんテク

139回
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日本の電機産業の失敗に学ぶ自動車産業「解体」の必然
3月30日に、2020年にアップルを抜いてスマートフォンで世界第3位のメーカーに躍り出た中国Xaomiまでが「スマートEVに参入する」と発表した。
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アップルカーが開く「クルマを造らない自動車メーカー」の時代
米アップルはスマートフォンメーカーか? やぶから棒のようだけれど、こう聞かれたら読者諸兄はどう答えるだろうか。工場を持たない、すなわちメイク(Make)する現場を持たない企業は、メーカーと呼べるのだろうか。
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ついにホンダが「自動運転レベル3」を実現した意味
ホンダの「レベル3」の自動運転技術が、3月4日に正式に発表された。最高級車「レジェンド」に搭載された「Honda SENSING Elite」がそれだ。レベル3の自動運転技術が実用化されるのは世界で初めてになる。
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日産の新型「ノート」に300万円の価値はあるか
新型ノートは先代よりも2ランクくらい上のクルマになった。ボディー剛性、乗り心地、静粛性、室内の質感など、これまで競合他社に後れを取っていた部分を一気に挽回したと言っていい。
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多気筒エンジンの高級車みたいだったEVモデルのマツダ「MX-30」
マツダが1月末に発売した同社初の量産EV「MX-30 EV MODEL」に試乗して、たとえEVになっても依然として個性を出すことは可能なのだと実感した。今まで乗ったEVとはぜんぜん違う個性を持っていたからだ。
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ダイムラー、BMWに見る“次世代大画面ディスプレー”の違い
毎年1月に米国ラスベガスに取材に行くのが恒例となっている世界最大級のエレクトロニクス関連見本市「CES」も、今年は初のオンライン開催となり、ディスプレー越しでの情報収集を余儀なくされた。
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PHEVとエンジン車で迷う新型「エクリプス クロス」
今回取り上げるのは昨年暮れに試乗した三菱自動車の新型「エクリプス クロス」である。今回、大幅な部分改良と同時にPHEV(プラグインハイブリッド車)仕様が追加された。
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2021年は「CO2排出実質ゼロ」へのスタートの年
新型コロナウイルスの感染拡大は、“移動”に対する価値観の転換をもたらした。今まで、時間をかけて移動していたのは何だったんだろうと感じることが何度もあった。
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スバル新型「レヴォーグ」はCOTY受賞も納得の仕上がり
SUBARU(スバル)の新型「レヴォーグ」に公道試乗できたのは、ちょうど日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)2020−2021の発表があった翌日だった。今年のCOTYはクルマの出来からいって、新型レヴォーグで間違いない…
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ホンダ「N-ONE」の仰天モデルチェンジ
ホンダが11月19日に全面改良して発売した新型「N-ONE」を見て驚いた。2012年に登場した初代から数えて8年目の、初の全面改良ということになるのだが、既にプロトタイプは2020年1月に開催された東京オートサロン202…
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ダイハツ「タフト」はスズキ「ハスラー」にリベンジできるか
ダイハツ工業の「タフト」と聞いて懐かしい思いにとらわれた読者はきっと50代以上に違いない。1974年から1984年まで生産されていた車種の名称だからだ。
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変化球かと思ったら直球のいいクルマだったマツダ「MX-30」
2019年秋に開催された第46回東京モーターショー2019で最初にマツダ「MX-30」を見たとき、筆者はちょっと戸惑った。
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日産「キックス」は“遊び心”より実用性重視
日産自動車が、BセグメントのSUV(多目的スポーツ車)として従来の初代「ジューク」に代わり、タイから「キックス」を輸入するという話を最初に聞いたとき、筆者はちょっとがっかりした。というのも、筆者は初代ジュークを様々な意味…
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Honda eはいま一番ホンダらしいクルマ
ホンダ初の量産EV(電気自動車)「Honda e」が発売される。開発者の生の声を聞いて、「いまのホンダ車の中で、最もホンダらしいクルマなのではないか?」と感じた。
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スバルのアイサイトXの頭脳「FPGA」とは
「FPGA」は半導体の一種で、スバルの新型「レヴォーグ」から搭載が始まるスバルの新世代「アイサイト」にFPGAが採用された。
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プジョーの新型「208」はBセグの新しいベンチマーク
今回取り上げるのは仏プジョーの新型「208」。最近のプジョー車の例にもれず、世代が代わっても名称の数字が増えなくなった
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VWの新型SUV「T-Roc」は新時代のゴルフか?
独フォルクスワーゲン(VW)の新型SUV「T-Roc」について取り上げる。T-Rocの「T」は、「トゥアレグ」や「ティグアン」など同社SUVがTから始まる名称が付けられていることに由来。セグメントをRock(揺り動かす)…
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ホンダが売る「ウイルスを“殺す”シート」
ホンダが「攻め」の知財管理に取り組んでいる。一つは「既存の業務の効率化」で、もう一つは効率化で浮いたリソースを「知財の幅広い活用」に生かしていくこと。「AI(人工知能)を活用した特許ポートフォリオ管理」と「知財発のオープ…
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「カローラはSUV」の時代が来ても驚かない
カローラクロスには、2つの意味で驚かされた。一つは、ついにSUVに「カローラ」の名称が冠されたこと、そしてもう一つは、同じクラスに2種類のSUVを揃えたことである。
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日産のスポーツ車種は生き残れるのか?
日産のスポーツ車種の将来を左右する「FR(フロントエンジン・リアドライブ)プラットフォームを今後どうするか」という大きな課題について、明確な展望が今回の構造改革計画では語られなかった。
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従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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