東京・町田の郊外にある「でんかのヤマグチ」は、最も多いときには周囲に6店の家電量販店に囲まれつつも21期連続の黒字を維持している家電店だ。この店の特徴は、ものを高く売ること。たとえばテレビは一般的な量販店の2倍の値段でも売れるという。顧客は町田市および旧相模原市域に限定し、高齢者を中心に絞り込み、社員は顧客に徹底的にサービスしている。留守の間に郵便物を受け取ったり、機械が苦手な老婦人のためには毎週韓流ドラマの録画予約にうかがったりと、至れり尽くせりだ。山口勉社長は「かゆいところをかいてあげるのは当たり前、かゆくなる前にかいてあげるのがウチのサービス」と言う。ものの値段を引き上げるにはどうすればいいのか、そのヒントがここにある。
シリーズ
他店より高い! 「でんかのヤマグチ」 “高売り”の秘密

完結
24回
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環境が変化したときこそ攻める
東京都町田市の“稼ぐ町の電器店”「でんかのヤマグチ」。今回は、12月1日にスタートしたテレビの4K、8K放送スタートを環境変化の好機と捉え、これまで販売不振が続いていたテレビの反転攻勢に向けた取り組みを紹介する。
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成熟市場で売る商品がないはウソ
東京都町田市の“稼ぐ町の電器店”「でんかのヤマグチ」。今回はかつて主力商品だったテレビの売れ行きが今も伸び悩む中、諦めずに新たな売れ筋商品を探し続けた結果、ガス給湯器という鉱脈を探り当てた経緯を解説する。
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売れない理由を外部環境のせいにしない
東京都町田市の“稼ぐ町の電器店”「でんかのヤマグチ」。毎年1、2月に実施する「冷蔵庫キャンペーン」の実績は今回、伸び悩んだ。関東で大雪が降るなど想定外の事態もあったが、山口社長は冷静に対応した。売れない理由を社外に求めな…
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出張中もスマホで店の様子を確認する理由
東京都町田市の電器店「でんかのヤマグチ」は2年前に新店をオープンした際、駐車場と店頭に防犯カメラを設置した。しかし、「防犯はもちろんだが、顧客満足度アップのために設置した」と山口社長は言う。今回はその真意を語る。
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100人のお客より1人の熱烈なファン
東京都町田市の電器店「でんかのヤマグチ」は今年7月から、営業担当者が受け持つ顧客の数を減らし始めた。かつて3万人いた顧客を1万人に減らした山口社長。それをさらに絞り込むという。大きな決断に至った理由とは。
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「値下げすれば売れる」幻想がまだ消えない
東京都町田市の電器店「でんかのヤマグチ」は同じパナソニック系列の販売店と共同仕入れ会社を立ち上げた。その際、山口勉社長が他店の経営者に諭したのは、値下げすれば売れるという幻想を捨てさせることだった。
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「99%売り切った」という習い性が生む怖さ
東京都町田市の電器店「でんかのヤマグチ」。昨年振るわなかった冷蔵庫キャンペーンの結果を受け、習い性が生む怖さを知った山口社長。今年はテコ入れをしてキャンペーンの粗利益額が過去10年で最高に。その舞台裏を紹介する。
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過去の自分を否定すれば改善策が見えてくる
東京都町田市の電器店「でんかのヤマグチ」。山口勉社長は、売り場を絶えずチェックして問題がないかを確認し続ける。場合によっては、過去の自分の意思決定を否定して新しい取り組みを始めることもある。改善の極意を紹介する。
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トランプ大統領が日本の消費拡大を後押し?
東京都町田市の電器店「でんかのヤマグチ」。山口勉社長は、顧客と接しながら、消費傾向の変化をつかんで売り方を変えている。米国のトランプ大統領誕生に伴って、日本の消費者に変化が生まれたと推察する山口社長。その真意を語る。
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コスト削減、ケチケチ大作戦ばかりじゃ能がない
電器店「でんかのヤマグチ」の山口勉社長は、社員に余計な負荷を掛けたり、士気を下げたりせずに、上手にコストを減らす方法を考え続けている。常識を疑って少し見方を変えれば、答えは意外に身近なところに隠れているという。
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データ+生の情報で顧客ニーズを逃さない
東京都町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」。山口勉社長は、データの細かい変化を見逃さない。生の情報と組み合わせて仮説を立て、新しい販売方法を考える。今回は移ろいやすい顧客ニーズのつかみ方を解説する。
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研修ルームだって集客装置になります
東京都町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」。山口勉社長は、社員の研修ルームを普段遊ばせておくのはもったいないという考えから、「集客装置」としてフル活用している。では、具体的にどのように使っているのか。今回はその極意を解…
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教えます!売れるチラシの作り方
東京都町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」。顧客向けのチラシは企画から制作、印刷まで自社で一貫して手掛ける。普段、チラシを作る上でどのような工夫をして販売につなげているのか。今回はその極意を解説する。
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お客さんはえこひいきしていいのです
東京都町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」。実は購買時期と金額によって、顧客サービスに差を付けている。なぜ、えこひいきをするのか。今回はその真意を解説する。
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私はこうして掛け売りを激減させました
東京都町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」。山口勉社長は、20年ほど前に「脱・値引き営業」を始めたのに併せて掛売りの「撲滅」に動いた。集金の手間とコストから社員を解放するためだ。今回はその経緯を紹介する。
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在庫の「見える化」には“裏技”がある?
東京都町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」。山口勉社長は、煩雑になりがちな在庫管理をちょっとした工夫で分かりやすくしている。巨額のシステム投資なども不要だ。今回はその秘訣を紹介する。
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週末、社長はいつもレジ周りに立っています
東京都町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」。山口勉社長は、平日は基本的に部下に店の売り場を任せているものの、週末は自ら売り場に立つ。社長にしかできない「仕事」があるからだ。今回はその理由を語る。
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お客さんとの接点を増やすことが全ての始まり
東京都町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」。顧客の家を訪れ、家電が必要かどうかを確認する御用聞き営業が強みだ。ともすると、嫌がられる御用聞き営業を成功に導くための第一歩とは何かを解説する。
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挨拶しながらお客さんを名前で呼べるかが勝負
東京都町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」。山口社長は社員が顧客と出会った際に、挨拶をしながら相手を名前で呼べるかどうかを重視する。なぜそこまで徹底するのか。背景には、顧客の心理に配慮した強い思いがある。
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店の規模や数は決して増やしません
東京都町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」。20年ほど前に値引き営業から脱し、サービス重視に舵を切って収益力を高めた後も、店は1店舗だけで決して増やさないと決めている。なぜ多店舗化しないのか。こだわりの理由を語る。
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