トヨタの3つの運用事例
製造分野において、xRへの取り組みが目立つのがトヨタだ。同社は、18年5月に都内で開催された米ユニティ・テクノロジーズのゲーム制作ツール「Unity」の開発者向け会議「Unite Tokyo 2018」でMRやVRの試験運用事例を3つ紹介した。
その一つがホロレンズを使った修理点検作業の補助だ。
CAD(コンピューターによる設計)データから作成した3Dモデルや部品情報を実際の車体に重ねて表示しながら修理や点検作業を行う。具体的には、修理時に取り外す部品に3Dモデルを重ねて強調したり、奥にある見えない部品を可視化したりする。ホロレンズの活用によって、文字や図で確認しながら作業できるので、作業工程を理解しやすい。途中で作業が分からなくなった場合は、ビデオチャットで他の社員とやり取りして教わることも可能だ。
例えば、車体の板金の修理では、CADデータから作成した板金の3Dモデルを実際の車体に重ねて表示する。板金の3Dモデルは金属の材料ごとに色分け可能で、修理箇所の材料を示すことができる。配線の3Dモデルを実際のエンジンルーム内の複数の配線に重ねれば、配線の接続先の場所や部品の種類がすぐに分かるようにできる。
2つ目の事例がVRを使ったトレーニング教材だ。
これは3Dモデルを使用して実際の車両を再現しながら作業学習をする。若手技術者に対する教育が目的で、社内の評判は高いという。
3つ目の事例として挙げたのが、VRを使ったコミュニケーションツールで、遠隔地から3Dモデルを仮想空間で共有して研修を行う。例えば、新型車を発表する際、仮想空間内で車両の3Dモデルを使用して構造や機能を社員に対して紹介できる。コミュニケーションツールとして、離れた場所にいる社員の研修にも利用できる。17年末には、実際に日本と海外3拠点(タイ、マレーシア、インドネシア)との間で研修を実施したという。




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