全2877文字

 16年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で発表された報告書によると、毎年少なくとも800万トンのプラスチックが埋め立てや焼却といった処理がなされず海などに流出しているという。世界のプラスチックの生産量は14年までの50年間で20倍以上に急増。年間約3億トンに達し、今後20年間でさらに倍増する見通しだ。このままの状況が続けば、海を漂流するプラスチックの量は、50年までに海に生息する魚の量(重量ベース)を上回るという。

世界的な環境問題として注目されている
●マイクロプラスチック問題を巡る動き
2015年 6月 主要7カ国(G7)首脳会議で初めて海洋ごみが世界的な問題として議論された
9月 国連のSDGs(持続可能な開発目標)に、海洋ごみの大幅削減が盛り込まれる
2016年 1月 世界経済フォーラム(ダボス会議)で海洋ごみに関する報告書が発表
2017年 7月 20カ国・地域(G20)首脳会議で初めて首脳宣言に海洋ごみ問題が盛り込まれた
2018年 1月 欧州連合(EU)が30年までに、EU市場内のすべてのプラスチック容器包装を、リユース・リサイクル可能なものにする「プラスチック戦略」を公表
6月 G7で海のプラごみを減らす数値目標を掲げた「海洋プラスチック憲章」が発表
米マクドナルドが、英国とアイルランドの店舗でプラ製ストローを19年までに紙製に切り替えると発表
7月 米スターバックスが、20年までに世界の店舗でプラ製ストローを廃止すると発表
8月以降 日本の外食大手(すかいらーくホールディングス、日本ケンタッキー・フライド・チキン、セブン&アイ・フードシステムズなど)がプラ製ストローの廃止を目指すと公表

外食大手が代替を急ぐ

 こうした流れを受けて今年1月、欧州連合(EU)が使い捨てプラスチック包装の使用を段階的に抑制する「プラスチック戦略」を打ち出した。日本でも6月、海岸漂着物処理推進法が改正。洗顔料などに使われる微細なプラスチック「マイクロビーズ」の使用抑制を求めるなど、規制強化を進める。

紙に特殊コーティングを施し、湿気や酸素をシャットアウト
●シールドプラスの仕組み
バリアコーティング層は湿気や酸素、臭いをほとんど通さないので、食品包装などに広く使える。袋を密封するためにプラスチックのヒートシール層が必要だが、生分解プラを使える

 背景には、グリーンピースなど国際環境NGOの活発なロビー活動がある。ESG(環境・社会・統治)対応を迫られた米マクドナルドや米スターバックス、国内ではすかいらーくホールディングスなどの外食大手が、相次いで使い捨てプラスチックストローなどの使用を取りやめる方針を決定している。

 これを商機と見て動き始めたのが、「生分解性プラスチック」のメーカーだ。生分解プラは、自然界に出ても微生物の働きで水とCO2(二酸化炭素)に分解するため、マイクロプラスチック問題の切り札として期待されている。

 代表選手が三菱ケミカルが手掛ける「バイオポリブチレンサクシネート(バイオPBS)」。耐熱性や柔軟性に優れるうえ、土中だけでなく、海水中の微生物でも分解できるのが特徴だ。原料はサトウキビなどを加工した糖から作る「コハク酸」と石油由来の「1,4-ブタンジオール」。農業用のシートや自治体のゴミ袋などに採用されている。