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 2020年夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催まで、あと2年。移動、観戦、宿泊などに関するバリアフリー関連の基準などを見直す動きが活発だ。見過ごされてきたバリアの解消は、企業にとって新しい市場となる可能性がある。

(日経ビジネス2018年10月8日号より転載)

改修で新設された席(左、写真=日本財団パラリンピックサポートセンター提供)。一般席を撤去して3階の東西に69席の車椅子使用者席を増設(上1枚目、写真=東京都提供)。武蔵野の森総合スポーツプラザの外観(上2枚目、写真=安川千秋)

 「武蔵野の森総合スポーツプラザ」(東京都調布市)は東京都が2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて整備する新規恒久施設8件の一つ。17年11月に開業した。同施設では異例ともいえる開業前のバリアフリー改修が実施された。

 「必要な車椅子使用者席の多さに正直、驚いた」。こう打ち明けるのは武蔵野の森総合スポーツプラザの設計を手掛けた日本設計の第1建築設計群副群長で商業施設設計室長の竹林正彦チーフ・アーキテクトだ。

車椅子使用者席を大幅に増加

 同施設はスポーツとコンサートなどの興行が両立できる最新施設として、東京都が約351億円を投じて建設。17年3月に竣工したが、オープン前に改修工事を行うことが決まった。理由は竣工とほぼ同時期に公表された「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン」(以下、ガイドライン)への対応に踏み切ったためだ。

 ガイドラインは、オリパラ大会時の整備指針。国際パラリンピック委員会(IPC)が定める、いわば“世界最高水準”を基に、国内の関係法令・指針を踏まえて東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会などが策定し、IPCの承認を受けた。

 改修で最も大掛かりになったのが、車椅子使用者用席の増設だ。都の福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルでは、「1以上」が順守義務。竣工時はこれに準じて1席だったが、69席に増やした。ガイドラインがパラリンピック会場に求める「総席数の1.0~1.2%」を満たすためだ。ガイドラインでは、現行法令の数値基準などよりも軒並み高い水準を推奨している。