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AIで映像を解析し安全に
●ソフトバンクロボティクスの「RS26 powered by BrainOS」
前面の3Dカメラで写した障害物をAIが解析し「人」か「物」かを判断。米国では2016年から販売され、今年8月に日本に上陸
タブレットで簡単設定
●アマノの業務用ロボット掃除機「RcDC」
本体が室内を1周し、センサーを活用して壁や障害物の地図を作製。その後、使用者はタブレットで手軽に掃除範囲を設定できる

 「センサーだけに頼るのは人間でいうと目をつぶった状態。3D映像の解析で、周囲の環境をより高精度に把握でき、確実にトラブルを回避できる」と、ソフトバンクロボティクスモビリティ事業推進部推進課の周聖哲課長はAIの強みを解説する。今後は、国内のロボットメーカーに対してもブレイン社のAIを売り込んでいく構えだ。

 新規参入に対し、これまで業界を主導してきたメーカーも機能強化を急ぐ。

 業界団体の推計では、約600台の業務用ロボット掃除機が国内で稼働しているとされるが、そのうち約200台がアマノ製の「RcDC」だ。ロボットが自走しながらセンサーを使って室内の地図を作製。作業員がタブレットで清掃範囲を設定できる機能を搭載する。かつては障害物を検知しても立ち往生するだけだったが、制御ソフトの改良で迂回ルートを導くことが可能になった。「我々にはこれまで組んできた顧客がいる。ニーズに即した改良が行えるのは強みだ」とクリーンロボット開発課の田中貴課長は話す。床洗浄タイプでも新型を発売予定だ。

 競合に先駆け、2009年に掃除機タイプを発売したフィグラ(東京・千代田)も着実に機能強化に取り組んでいる。F.T.事業ロボット部の吉沢智幸氏は「大手メーカーの参入に危機感はあるが、それだけ市場の拡大が見込めるということ」と冷静に捉える。

 深刻な人手不足が火をつけた業務用ロボット掃除機の開発レース。今後の焦点は、ロボット価格の低減と人件費の高騰がどこで交差するかだろう。価格は軒並み100万円を超え、レンタルも月10万円前後。清掃ロボットメーカーらでつくる日本ビルメンロボット協議会の糸賀浩延会長は「清掃業は中小企業も多く、費用が導入の壁」と指摘する。競争でコスト削減が一段と進めば、急速に普及しそうだ。