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 これを可能にするのが、本体に備えた4種類のセンサーだ。「カーペットの上などでは、直進しているつもりでも曲がってしまうことがある」(鯛氏)。ルーロプロはレーザーセンサーや赤外線センサーで前方や左右の壁などとの距離を測定。現在地を常に把握し、事前に設定した場所を正確に掃除できるという。現行機種は廊下などでの使用を想定しており、センサーの照射範囲は左右は3.5mに限られる。今後はより広い場所を掃除できる製品の投入も視野に入れる。

 掃除の現場では障害物や通行人など、事前に想定しづらい場面に遭遇する。そうした時に活躍するのが、本体下部に搭載した超音波センサーだ。他のセンサーと組み合わせて通行人を検知したら、冒頭のように音声を発して注意喚起する。仮に衝突しても、バンパーセンサーが作動して即座に停止する。

ほぼ全ての清掃業者が人手不足に危機感
●清掃現場の人手不足に関するアンケート調査
出所:日本ビルメンロボット協議会調べ(2016年)

 もう一つの売りは、家庭用ロボット掃除機の機構を改良した「サイドブラシ」だ。きっかけは、共同開発した三井不動産グループの助言だった。同グループは全国で約350のビルを清掃するなかで様々なロボットを活用してきたが、「壁際」の掃除に不満があったという。多くは壁際30cmほどまでしか近づけなかったからだ。そこでパナソニックは約5cmまで接近可能にし、前方側面に専用ブラシを装着。人手を介さず壁際の集塵を可能にした。

 今年3月に開業した東京ミッドタウン日比谷(東京・千代田)では、6台が稼働している。清掃を担う三井不動産ファシリティーズ品質管理課の三石英一課長は「通路部分の掃除に要する人員は約半分になった」と効果を語る。今後、新築するビルでも導入する考えだ。

 家電で培ったセンサー技術を応用するパナソニックに対し、AI(人工知能)を武器に清掃市場に切り込むのはソフトバンクロボティクス。同社は8月、無人で床面を水洗いするロボット「RS26 powered by BrainOS」の国内販売を開始した。中国製の床洗浄機に、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資する米ブレインコープのAIを搭載。機械前面に装着した3Dカメラの映像を解析して、周辺環境を把握する。

 使い方はシンプルだ。最初に作業員が乗車して清掃ルートをぐるっと一巡し、エリアの地図と作業内容をAIに教え込む。次回以降はスタートボタンを押すと無人で清掃する。

AIが「人」と「物体」を識別

 AIが真価を発揮するのは経路が塞がれた場面だ。3D映像を基に障害物が「人などの動くもの」か「静止した物体」かを判断。前者の場合は一時停止して移動を待ち、後者なら迂回路を探す。迂回スペースが見つけられなくても、状況を撮影した画像を清掃員にメールで送ることで、障害物の移動を促す。