フラウンホーファーの手法は日本の産総研などにも影響を与えている(写真=フラウンホーファー研究機構提供)

 独立性が保たれた結果、各研究所で扱う領域は微妙に重複する。投資が重複する問題が起こるが、研究所間の競争意識を生み、研究を活性化させるという。

 72の研究所は8つのグループに分かれる。従来の「生産技術」「材料・部材」「光・表面技術」「マイクロエレクトロニクス」「情報通信技術」「ライフサイエンス」「防衛・安全保障」に17年、「イノベーションリサーチ」として、社会や経済と技術の関係に注目したグループが加わった。グループ内の各研究所が連携して活動する体制も整備しており、独立と連携の両面で研究開発する。

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各研究所は独立して運営されているが、関連する技術分野(グループ)内で必要に応じて協業。複数のグループに属する研究所もある

産総研も手本に

 フラウンホーファーに対して日本企業の注目度は高い。17年は238件の技術的な問い合わせがあったほか、94件の視察訪問があった。

 産業技術総合研究所(産総研)は01年に、通産省(当時)工業技術院の15研究所が統合・再編されて発足した公的研究機関(国立研究開発法人)。経済産業省や産総研の担当者は15~19年度の第4期の中長期計画/目標を作成するに当たり、フラウンホーファーを視察するためにドイツを訪れた。

 産総研は発足当初から「技術を社会へ」をミッションとしていた。しかし、どうしてもシーズ先行の研究が主体になる悩みがあった。そこで企業と連携した応用研究で実績があるフラウンホーファーに目をつけた。

 ポイントは企業からの委託研究の規模の大きさ。産総研の第4期の中長期目標では、基礎研究と企業の応用を結び付ける「橋渡しの機能」の強化を最重要課題として据えた。これに従い、民間企業からの研究資金の獲得金額を5年間で3倍に拡大する方針を策定。具体的には、目標設定当時の過去3年間の平均46億円(基準値)の3倍に当たる年間138億円を目標値として掲げた。16年度の実績では、獲得金額は基準値の約1.6倍の73億円となっており、成果は出始めているといえそうだ。

日経ものづくり
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