産業ニーズに幅広く応えるため、先端研究も進む。フラウンホーファーの集積回路研究所(IIS)の一つであるIISEZRTには世界の知る人ぞ知る装置がある。それが自動車1台を丸ごと測定できるX線CT(コンピューター断層撮影装置)スキャナーだ。

 立体モデルの外形を測定する3Dスキャナーと違い、CTスキャナーでは内部の構造を調べられる。X線の透過量の違いで鋼やアルミニウム合金、ゴムといった素材の違いまで分かる。

●自動車をCTスキャンしたデータのレンダリングモデル
フラウンホーファーでは、自動車1台を高い解像度で3Dデータ化。この技術は文化財や化石などの非破壊による3Dデータ化でも活用される。この画像はドイツ博物館との共同研究の成果(写真=フラウンホーファー研究機構提供)

 先端研究ではCFRP(炭素繊維強化樹脂)とアルミニウム合金を鋳造によって接合するなど、さまざまな取り組みなども進んでいる。

複合材の加工デモを披露

 ドイツのアーヘン市で2018年5月初旬に開かれた「AKL’18」。レーザー技術に関する国際会議で、主催したのはフラウンホーファーのレーザー技術研究所(ILT)だ。

 レーザーによる複合材の切断技術のデモで扱ったのは、GFRP(ガラス繊維強化樹脂)とCFRPを貼り合わせた帯状の部品の両端に、他の部品と接合するための金属部品を取り付けた部品だ。

 自動車のマルチマテリアル化が進む中、複合材を効率よく低コストで加工するニーズは強い。しかし、これまでは切断した際に樹脂が溶け、断面の品質が悪化する課題があった。今回のデモではレーザーを何度も往復させながら少しずつ切断を進めて温度上昇を抑える手法を披露して注目を集めた。

 フラウンホーファーでは、民間から受ける委託研究プロジェクトの選定や研究テーマなどについて、各研究所に任されている。