自動車技術者向け専門誌、日経Automotiveが2040年のクルマの「車内」を予測。表示デバイスは「透明ディスプレー」「ホログラム」となり、役割も大きく変わる。音声認識技術も向上する結果、乗る人の「空気を読む」自動運転やコンテンツ表示もできるかもしれない。

(日経ビジネス2018年5月14日号より転載)

 自動運転の実現で運転という“苦痛”から解放されれば、空いた時間をどう有効に使えるかを人々は考えるようになる──。独フォルクスワーゲン(VW)が実施した消費者調査では、「遊ぶことと仕事、そして眠るという3つの期待が特に大きかった」(同社のヘルゲ・ノイナー氏)という。

 自動車メーカー各社が来るべき車内空間のあり方をめぐって思案を始めた。ある部品メーカーの技術担当マネジャーは「(車載機器を減らした)よりシンプルでより広い車内空間を実現したいという自動車メーカーからの要望が大きくなっている」と明かす。

情報の出入り口が進化

 車内空間で今後、重要な役割を担うのがHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)とシートだ。

 このうち、HMIでは情報の出口となる表示デバイスと入り口となる音声認識が進化する。

図1 表示範囲が拡大、やがて3Dに
●2040年までの表示デバイスの実現技術とそれに伴う変化
高級車から軽自動車まで搭載が進むHUD。2020年以降はウインドーの広い範囲に情報を表示する技術が実用化。さらにホログラム技術へ(写真=左から1・2点:独コンチネンタル提供、同3・4点:日経Automotive、右下:独BMW提供、背景:johnason/Getty Images)

 表示デバイスは2040年に向けて役割が大きく変わる(図1)。現在は運転支援システムの補助役として運転者だけに情報を伝える。しかし、25年以降は室内全体に映し出せるようになりそうだ。表示内容も安全情報からエンターテイメントのコンテンツに広がる。

AR(拡張現実)の適用でより安全に
デンソーがトヨタ自動車「レクサスLS」に供給するHUDは、歩行者がいるところを矢印で示せるようにした(写真=デンソー提供)

 直近で進化する表示デバイスがHUD(ヘッド・アップ・ディスプレー)だ。運転者の視線移動を減らし安全性を向上できる。AR(拡張現実)を適用したHUDの量産は17年にスタート。経路案内の矢印や人の飛び出しを警告するイラストなどを車両前方の風景に重ねて表示する。これはHUDで生成した映像をフロントウインドーに反射させ、運転者から見て映像と対象物の位置が重なるようにしている。デンソー製のHUDはトヨタ自動車「レクサスLS」が搭載。独コンチネンタルは欧州の高級車へ供給するとみられる。