システム構築より手軽

 RPAが急速に普及している理由はもう一つある。旧来の情報システムと比較して、圧倒的にコストが安いのだ。

RPAは大規模投資に見合わない業務が対象
●業務の量・種類数に応じた効率化策のイメージ

 前述したエアコンの工事指示書の作成について、ITベンダーに発注して専用システムを作るとどうなるか。NTTデータでRPA導入ツール「ウィンアクター」を担当する中川拓也氏は「1000万円単位の投資が必要になる」と話す。要件定義から実際のプログラミング、動作確認まで様々なステップを経るため、時間とコストが膨らむからだ。

 一方でRPAの場合、仮想ロボット1体当たりの価格は数十万円程度にすぎない。ウィンアクターの場合はIT初心者でも数週間の講習を受ければ使いこなせるといい、月あたり7万円台からの導入も可能。巨費を投じて個別システムを築くほどではないが、単純作業の積み重ねで総量としては負担が大きい──。そんな業務領域を効率化するのに、RPAは適している。導入企業の社員が習熟すれば、様々な作業を教え込んで社内で仮想ロボットを“増殖”させることも容易だ。

 RPAにできるのは人間のパソコン操作を再現することぐらい。機能としては単純だ。だが「AI(人工知能)と組み合わせることで、オフィスの効率化は加速できる」と、アビームコンサルティングの安部慶喜執行役員は話す。「膨大なツイートデータのうち、AIが自社製品の感想にあたると判断したものだけを転記し、該当部署にメールで自動配信する」といった応用も可能だ。

 モノ作りで世界をリードしてきた日本。その理由の一つとして挙げられるのが、ロボットを活用した生産の効率化や正確性だった。その経験を今後はオフィスにも生かせるか。日本のホワイトカラー職場は世界の主要先進国のなかでも際立って生産性が低いとされる。RPAと無関係でいられる日本企業は存在しないだろう。