手順は明快で、複雑な作業では決してない。だが1件なら5分足らずで終わる作業も、10件こなすには50分かかる。大量のデータ処理が続けばミスが生じるリスクもあるだろう。

 RPAを導入すれば、人間がこうした単純作業を繰り返す必要はなくなる。業務内容によっても異なるが、仮想ロボットがパソコンを操作するスピードは人間の少なくとも3倍。疲労とは無縁なので24時間休まず稼働できる。1日の稼働時間が人間の3倍と考えれば、作業効率は単純計算で9倍だ。

RPAは製造業ロボットのオフィス版
●メーカーの製造現場とオフィスにおける「自動化」の比較

 導入にはまず業務手順を仮想ロボットに教え込む作業が必要だ。一般の業務システムならIT(情報技術)に精通した技術者が何百行にもわたるコードを書き、ソフトを更新することになる。だが、RPAならそんな手間とは無縁だ。

 代わりに使うのが、多くのRPA導入ツールが備える「録画ボタン」。どの画面からどんな情報をコピーするのか。ビデオを撮影するようにして、人間が示した作業の「お手本」を記録していく。

 こうして仮想ロボットを「教育」したら、あとは「ワンクリック」するだけだ。エクセルを開いて文字列を選択したり、アプリケーションを切り替えたりといった動作を、仮想ロボットが録画通りに忠実に再現する。

 RPAツールが稼働するとき、パソコンの画面上では人間が作業するのと同じようにカーソルが動き、地図がスクロールする。その様子はまるでロボットがオフィスで椅子に座り、マウスやキーボードを操作しているかのよう。高級ホテルなどに置かれた自動再生のピアノが、奏者はいないのに鍵盤だけが動いて旋律を奏でるのにも似ている。

 製造業の多くの工場では産業用ロボットや工作機械が同じ動作を繰り返し、人間の肉体労働を置き換えてきた。作業の正確さやスピードでは、既に人間はロボットにかなわない。RPAは、この考え方を、オフィスでの頭脳労働にも適用したものだ。「ブルーカラーの職場では当たり前のように浸透した効率化の手法は、ホワイトカラーにも応用できる」。自前のRPA導入ツール「ビズロボ」を開発し、日本生命保険や三菱UFJ銀行など400社以上に納入実績があるRPAテクノロジーズ(東京・港)の大角暢之社長はそう指摘する。