建設現場を最先端の工場へ──。施工の自動化は建設業界が何十年も前から抱いてきた夢。建設会社は深刻な人手不足の時代に備え、長年の夢の実現に取り組み始めた。単純作業や苦痛な作業を職人に代わってこなすロボットを現場に導入。普及のカギは低コスト化だ。

(日経ビジネス2018年4月30日号より転載)

図1 大成建設が開発した鉄筋結束ロボット
鉄筋結束ロボットのサイズは幅40cm、奥行き50cm、高さ30cm。重量は20kg以下で、1人で持ち運びができる。バッテリーは1回の充電で半日は持つ(写真:日経コンストラクション)

 建設現場において中腰の姿勢で大量の鉄筋を結束するのは、単調でつらい作業だ。これに対して、大成建設と千葉工業大学が共同で開発した「T-iROBO Rebar(ティーアイロボ・リバー)」は、鉄筋を「レール」にして走行しながら自動で結束作業をこなすロボットだ。2018年度から現場に本格的に導入する(図1)。

 レーザーセンサーで鉄筋の交差部を検出し、本体に搭載した市販の結束機を作動させて鉄筋を結ぶ。鉄筋の端部や障害物もレーザーセンサーで検知する。自動で横に移動して回避し、結束作業を続けられる。

作業効率が1~2割アップ

 開発を担当した千葉工業大学未来ロボット技術研究センターの西村健志研究員は、「センサーは特殊なものではなく、簡素な製品を選んだ」と話す。大成建設建設技術開発室ロボティクスチームの高橋要課長は、「現場は使用環境が厳しいので、高価ですぐ壊れる『ハイテク』なロボットは使えない」と説明する。

 床面積が大きい建物の現場などで、特に効果を発揮する。土木分野でもこれまでに道路橋の建設現場で、鉄筋コンクリート床版の両端部の施工に試験的に使用したことがある。

 大成建設の調査では、鉄筋結束作業は鉄筋工事全体の約2割を占める。これをロボットに置き換えることができれば、省人化の効果は大きい。

 ロボットに結束させながら、職人が別の作業を並行して進められるので、鉄筋工事全体では1~2割ほど作業効率が上がる。今後も現場で検証を重ね、「結束漏れ」を減らしつつ、スピードを高める。「当初は毎秒30mmだったが今は毎秒100mmに向上した。最終的に毎秒150mmを目指す」(大成建設の高橋課長)

図2 「T-iROBO」シリーズの一部
現場の清掃を自動化する「T-iROBO Cleaner」。総重量は約80kg。大型リチウムバッテリーを搭載し9時間以上の連続運転が可能(写真:大成建設提供、下2点も)
建物のコンクリート床を仕上げる「T-iROBO Slab Finisher」。レーザーセンサーを搭載したロボットに空間を把握させ、範囲内を自動で仕上げる
建物の鉄骨柱の現場溶接を自動化する「T-iROBO Welding」。シールド機の組み立てに使えないか検討中

 同社は鉄筋結束ロボットのほかにも掃除や溶接などの作業を担う9つの建設ロボットを開発済み(図2)。主に、単純で苦痛を伴う作業をターゲットに、自動化を進めている。