2つ目の特徴は、僻地などでも使いやすいことだ。橋梁の劣化を検知するセンサーや害獣対策の罠を設置する場合、これまでは電源の確保が課題になっていた。マイクロ水力発電なら「電線を引くのが困難な山奥でも独立電源として設置でき、電灯やスマートフォンの充電などに使える」と、リコー創エネルギー事業推進室の齊藤達郎グループリーダーは話す。

 太陽光発電は雨の日や日差しのない夜間には発電できない。風力も、強さや風向きは、まさに風任せで、自分でコントロールできない。一方、川や水道管は昼間も夜間も一定量が流れているため、マイクロ水力発電は稼働率が高くなる。これが3つ目のメリットだ。例えば冒頭の長岡京市では、システム稼働率が85%を超えている。13%ほどである太陽光発電よりも稼働率は高い。

 こうした特徴があるため、ビジネスとしても有望視されている。DK-Powerは20年に、一般家庭2万3300軒分に相当する年間8400万kW時の電気をマイクロ水力で生み出したいとしている。機器の保守サービスなど含めて、50億円の売上高を見込んでいる。

普及の壁は「ゴミ」と「水利権」

 一方で課題も多い。河川など屋外を流れる水流を利用すると、藻や流木、ゴミなどが水車にからまる場合がある。水車が回転しにくくなったり、最悪の場合は止まったりする。単純だが、影響は大きい。発電できないばかりか、人手で除去するのも手間がかかる。

 ここで工夫を凝らしたのがリコーだ。ゴミが絡まりにくくするために、水車の中心に穴を開けた。空洞にするとゴミだけでなく水も通過するため、流水から十分な回転力を得られない。そこで水車の前方に整流用の「ガイドベーン」という部品を設置し、効率的に羽根に水が当たるようにしている。

 法制度でもクリアすべき点がある。灌漑(かんがい)などの目的で、流水を排他的・継続的に使用する権利を意味する「水利権」だ。現状では、民間企業が勝手に水車を設置して発電事業を営むことは困難だ。水利権をもつ自治体などに利用申請しようとしても「手続きが煩雑で時間がかかる。許可がでない場合もある」(リコーの齊藤氏)。

 このためメーカー各社は、河川ではなく水道局内や工場内の配水管など、水利権のしばりを受けないところから売り込みを続けているのが現状だ。急速に立ち上がりつつある再生エネルギーの普及を進めるには、技術革新と並行して、長年の規制のあり方を問い直すことも重要になる。