いま、大きな変革の節目を迎えようとしている。時代を突き動かしているのは、ひとつは言うまでもなく地球環境問題である。人口の増大や途上国の成長が必然だとしたら、いかに地球規模の安定を確保するかは世界共通の問題意識となった。そしてもう一つは、グローバル化する世界経済、情報が瞬時に駆け巡るフラット化した世界である。これは地球環境という世界共通の問題を巡って、世界が協調する基盤を広げるとともに、技術開発やルールづくりでは熾烈な競争を促す側面もある。
筆者は「燃やさない文明」を提唱し、20世紀型の石油文明からの転換を訴える。このコラムではそのための歩みを企業や国、社会の変化やとるべき戦略として綴ってもらう。
シリーズ
「燃やさない文明」のビジネス戦略

完結
8回
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「軽井沢エコライフ」で得た太陽光発電への確信
今年1月に軽井沢に移住した。軽井沢に関心を持つことになったきっかけの一つは、この地区における太陽光発電の景観問題だ。太陽光発電は、「悪」なのであろうか?
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今トヨタに必要なのは「プリウスからの卒業」
日産の「ノート」が、2016年11月の車名別新車販売台数で初めて首位に立った。一方、トヨタ「プリウス」は首位の座から陥落。「e-POWER」の躍進と「プリウス」の後退。これはまさに、今後の自動車産業の方向を示す事件だ。
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「もんじゅ」崩壊…三人よっても知恵足りず
「もんじゅ」を要とする核燃料サイクルの計画が、事実上崩壊した。稼働から22年で稼働日数はわずか250日。遅すぎた決断だ。日本のエネルギー政策はどこへ向かえばいいのか?鹿児島・新潟の県知事選の結果が、示唆している。
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川内は結局止まる…「原発20~22%」は実現不可
日本の原発は「モグラたたき」状態が続く。2017年の初めに動いているのは伊方原発の1基だけだろう。政府が望ましいとする、原発が全体の20~22%を占める2030年の電源構成は非現実的だ。
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「リーフ」の電池でビンテージカーが走る
リーフに使った電池でフェアレディ2000やIsettaなどのビンテージカーが走る。EVバッテリー再使用ビジネスは、攻めのビジネスだ。持続可能な社会作りにとって不可欠な産業に育つ可能性がある。
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三菱不正事件の裏に不都合な日本の燃費基準
日本の燃費基準は甘すぎて非現実的だ。米国基準での測定値の6割前後になる例が多い。国が指定する「正しい」方法でデータを取っても「全く正しくない」燃費が出てくる現状――。燃費基準は見直すべきだ。
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原発ゼロに現実味――規制基準の見直しが不可避
関西電力の高浜原発3号・4号機について、大津地裁が運転停止を命じる仮処分を決定した。驚きをもって受け止められた今回の決定。背景には、国民の多くが抱く新規制基準への不安感が透けて見える。
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風向き変わるか? 取り残される風力発電
世界的に見れば、再生エネルギーの主役は「風力発電」。しかし、日本の風力発電は足踏み状態に陥っている。騒音対策や環境アセスメントの合理化を急がなければ、再生エネから名前が消えかねない。
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小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
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クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
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10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回