景気の流れが今後、どう変わっていくのか? 先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか? 著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
シリーズ
上野泰也のエコノミック・ソナー

314回
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「日銀は悪い円安を止めよ!」という主張の決定的弱点
米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢と、日銀のハト派姿勢。両者のベクトルの違いを最大の材料にして、為替市場で円安ドル高が急速に進み、一時131円台前半になった。
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ロシア中銀の女性総裁、「ルーブル防衛」ミッションクリア!
米国や欧州諸国が武器・弾薬や情報を提供してウクライナ軍を支援しながらロシアに対して経済政策を発動している「代理戦争」的な状況は、このまま長引く可能性が高まっている。
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為替相場は「移り気」で「好奇心旺盛だが飽きっぽい」
2022年3月の為替相場は、まれに見る大きな値動きになった。ドル/円相場が、日米中央銀行の金融政策のベクトル(方向)が正反対であることを材料にしながら急速に円安ドル高に動いた。
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進行する「悪い円安」を根拠に「日銀の金融政策正常化」促す主張の「弱点」は?
「悪い円安」という表現を日本のマスコミ報道の中で見かける機会が、このところにわかに増えている。金融市場関係者の会話の中に登場する機会も増えている。
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もはや「年中行事」? 次の経済対策が10兆円規模で浮上
2022年度の政府予算案は、記録的なスピードで衆議院を通過した。2月22日の衆院通過は、戦後最速だった99年度予算案の2月19日に次ぐ、過去2番目の早さである。
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ロシアの暴挙から物価・生産を統制する「戦時経済」がやってくる?
ロシアがウクライナに侵攻してから2週間以上が経過した。休戦協議が断続的に行われているものの、クリミア半島におけるロシアの主権承認などもプーチン大統領は要求しており、和平実現へのハードルは高い。
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プーチンは軍事力で「ロシアの栄光」を取り戻せるのか?
内政で苦しい立場に追い込まれた場合に政治家が用いる常とう手段が、対外的な危機へと国民の関心を引き付けることである。けれども、バイデン大統領はウクライナへの米軍部隊の直接派兵を記者会見などの場で繰り返し否定している。
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利上げ問題で激しくせめぎ合う「タカ派」と「ハト派」
米国やユーロ圏などでは物価の上昇率が足元でかなり高くなっている、例えば、米国の1月の消費者物価指数(CPI)は総合で前年同月比プラス7.5%になった(1982年2月以来の上昇率)。
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「ポスト黒田」にらみで広がった日銀「異次元緩和修正」の思惑
日銀の異次元緩和が近い将来、金融政策の正常化を進める方向で修正されるのではないかという思惑が、海外勢を中心に市場で広がり、長期金利が上昇している。
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「世界の分断」が浮き彫りになった北京オリンピック開会式
北京冬季五輪開会式の出席予定者として1月28日に中国外務省が発表した国・国際機関の要人は30人以上だった。近年の五輪に比べると首脳級の人数としてはかなり少ないが、ここで問題となるのは誰が来たかである。
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FRBのタカ派姿勢が招いた「不気味な地鳴りの音」
年明け早々、1月5日に公表された昨年12月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は、金融引き締めに積極的なタカ派姿勢への彼らの急速な傾斜を、くっきり示す内容になった。
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新型コロナ、「東京都発熱相談件数」先行急増と「ブースター接種」への警告
新型コロナウイルス新規感染者数に先行する指標として筆者が以前よりウオッチしている東京都発熱相談センターにおける相談件数(発熱相談件数)が、年明け後に急増している。
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「理想主義」バイデン vs 「心がない」プーチン
ロシアがウクライナ国境近くの自国軍配備を増強している状態が続く中、米国とロシアの関係が緊張の度を増している。
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終わらない「コロナ危機」、また「緊急事態宣言」発令か?
マーケットではオミクロン型に関する楽観論が足元で広がる。一方、各国の公衆衛生当局は慎重論・悲観論に傾斜し、両者のコントラストが鮮明になっている。
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「悪い円安」で身近な品の物価が上昇…それでも日銀は動かない?
日本の消費関連業種に根付いている過小需要・過剰供給の「デフレ構造」を示してきた経済指標に、足元でちょっとした変化が生じている。
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「この一言」で振り返る2021年 ~ 新型コロナ、米金融政策が注目集める
日米の要人発言から、終わりが近づいている2021年を振り返りたい。オミクロン株よりもやっかいな変異株がこの先出現する可能性は否定できない。何度も述べてきたことだが、新型コロナウイルス危機について考える場合、安易な楽観論は…
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消費者が逃れられない、必需品「値上げラッシュの冬」
最近、食料品の値上げ発表が相次いでいる。消費者のサイフを直撃する「値上げの秋」「値上げの冬」といったところか。
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大丈夫?「台湾問題」で「失言3回」のバイデン大統領
11月20日に誕生日を迎えて79歳になり、米国史上最高齢の大統領としての記録を更新した、バイデン大統領。その発言内容が危なっかしい場面が、しばしば見られている。筆者が最も気になっているのは、台湾に関する発言である。
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「バラマキ合戦」のような巨額経済対策の裏側に何がある?
政府は11 月19 日、財政支出55.7 兆円程度(過去最大)・事業規模78.9 兆円程度の新たな経済対策「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定した。
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積み上がる「個人預金」、なお続く「コロナ警戒」
両党とも「選挙に勝ったのだから公約は当然実現させたい」と話になりやすく、妥協が成立するまでにやや時間がかかったのだろう。22年夏の参院選がすでに意識され始めているであろうことも想像に難くない。
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