景気の流れが今後、どう変わっていくのか? 先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか? 著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
シリーズ
上野泰也のエコノミック・ソナー

265回
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「人権外交」掲げるバイデン政権は「ハネムーン」終了間近
サウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国の協議体である「OPECプラス」の姿勢が、4月に入り、ようやく軟化した世界市場に対する原油供給量は5月から増える見通しである。
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もはや「はやらない」のか? 財政再建というコンセプト
英国が50年ぶりに法人税率を引き上げると表明した。スナク財務相が3月3日に発表した21年度の予算案は、新型コロナウイルス危機への対応で雇用支援策や減税などを延長することから、政府の借入額が大きく膨らむ内容である。
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「海外の目」を常に意識する日銀が考えた「英文タイトル」
日銀は3月18~19日に金融政策決定会合を開催。金融政策を賛成多数で現状維持としつつ、数カ月かけた「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検」の結果を公表した。
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激しく対立する「民主主義」米国 vs「権威主義」中国
米国の大統領がトランプからバイデンに交代した後も、米国と中国の対決ムードが徐々に強まっているように見える。
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「気候変動」「住宅価格」…中央銀行の使命はどんどん増える?
中央銀行が課される最大の責務・使命は「物価安定」であるのが一般的である。国によっては「物価安定」と「最大雇用」の2つを前面に出すケースもあるが、重心はやはり物価安定の方にあるとみるべきである。
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「インフレゴースト」におびえて上がった金利・下がった株価
2021年2月は、長期金利が内外市場でほぼ一本調子に上昇する月になった。月末近くになると、そうした金利の上昇がハイテクを中心とする株価の下落に結びついたため、注目度が高まった。
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「予定利率」「住宅ローン」エコノミストの自分はどう立ち回ったか?
このコラムでは内外の経済・金融市場動向や政治マターを取り上げて論じることが多いのだが、今回は趣向を大きく変えて、筆者個人がたどってきた道筋を振り返ってみたい。
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「先走った金利上昇」を中央銀行はテクニックで抑え込めるのか?
中央銀行と「動きたがる債券市場」の駆け引きはこれからも続く。そしてその成り行きは、「官製バブル」色の濃い世界的な株価高騰がこの先どうなるかにも陰に陽に影響する。
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新型コロナ「ワクチン集団接種訓練」でわかった難題の数々
ワクチン接種訓練の模様がマスコミ各社により報じられたが、難しい課題がいくつも浮かび上がった。筆者なりに整理すると、論点は3つある。
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「戦時下だから借金累増OK」「株高も黙認」の中央銀行
新型コロナウイルスがもたらした前例のないタイプの危機に直面し続けている日米欧の中央銀行は、政策金利引き上げ(あるいはバランスシート縮小)といった金融引き締め措置をこの先長い期間にわたって「封印」する姿勢を鮮明にしている。
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中国の出方次第で「ワクチンパスポート」が世界を分断する?
習近平国家主席は1月25日に開幕した世界経済フォーラムによるオンライン形式の会議「ダボス・アジェンダ」の特別講演で、「ワクチンの研究開発や生産、配分を巡る連携を強化する」と述べた。
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世界経済の浮沈だけでなく菅内閣の命運も「コロナ次第」?
日本では、世論調査で菅義偉内閣の支持率がなかなか下げ止まらない。そしてそのことには、新型コロナウイルス感染症対策への国民の不信感が大きく影響している。
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「新型コロナ変異種」は中国をも揺さぶるのか?
日本経済新聞は2020年12月19日、中国の習近平指導部は2021年の同国の実質国内総生産(GDP)成長率目標を「8%前後」とする方向で調整に入ったと報じた。情報源は複数の政府関係者という。
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コロナで現実味「出生数80万割れショック」
新型コロナウイルス感染拡大という新たなタイプの危機が発生し長引いており、妊娠・出産を望む女性にとって、複数の面から強い逆風が吹いている。
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「コロナ次第」の内外経済、「カネあまり」の金融市場
新しい年、2021年の内外経済や金融市場は、どのように推移するだろうか。端的に言うと、どうしても「コロナ次第」だというのが答えになる。景気・物価がたどるコースは前年に引き続き、新型コロナウイルスとの闘いの行方次第という面…
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「この一言」で振り返る2020年 ~ 印象的だった米投資家の「現金はゴミ」
米の要人発言を選び出して、2020年を振り返りたい。米国の著名投資家から1月という「コロナ前」のタイミングで、「現金はゴミだ」という発言がすでに出ていたことが、筆者には印象的である。
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ヒット商品や流行語で振り返る「コロナで始まり鬼滅で終わった年」
もうすぐ終わる2020年(令和2年)。新型コロナウイルスの感染が拡大して世界経済が大きく落ち込んだり、生活スタイルが大きく変容したりするなど、これまでに例のない、異様とも言える年になった感が強い。
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足場が脆い家計の消費にこれから吹き付ける「厳しすぎる逆風」
12月8日に発表された7-9月期のGDP(国内総生産)2次速報で、実質GDPは前期比+5.3%・同年率+22.9%に上方修正され、緊急事態宣言が全面解除された後の国内景気が個人消費や輸出の主導で大きくリバウンドしたことを…
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未曽有の「サービス不況」、企業や政府はどう立ち向かうのか?
製造業の生産活動復調が目立つ一方で、サービス関連では回復力の弱さが目立つ。同日に総務省から発表された9月のサービス産業動向調査では、月間売上高(サービス産業計)が前年同月比マイナス11.3%になった。
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「コロナワクチン」の予防接種率は内外で本当に上がるのか?
新聞各紙に掲載されている「首相動静」、その日の何時何分から何時何分まで何をしていたのかを「総理番」と呼ばれるマスコミ各社の担当記者が一日中張り付いて時系列で記録した記事を、筆者もチェックしている。
WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回