景気の流れが今後、どう変わっていくのか? 先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか? 著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
シリーズ
上野泰也のエコノミック・ソナー

331回
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2023年の日本経済が「低空飛行を維持しつつ徐々に悪化」する理由
2023年の日本経済はどうなるだろうか。人口減・少子高齢化という中長期的な課題を抱えているため、大きく成長することはないが、大きく下振れする動きも起こりそうにない。経済協力開発機構(OECD)が毎月発表している「景気先行…
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利上げ、ウクライナ侵攻、日銀ショック 金融市場の2022年総まくり
2022年はロシアのウクライナ侵攻、インフレ進行に伴う米国の急ピッチな利上げなど、金融市場を賑わす出来事が多かった。日本でも為替の円安や日銀の政策転換が市場を動かした。年内最後の同連載は、サプライズが相次ぎ金融市場が振り…
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手詰まりの金融緩和、「賃上げ3%」に活路見出す黒田総裁
企業の次期日銀総裁に対する要望は、金融緩和政策の維持・拡大が、引き締めを上回る。これは日銀にとっても都合がよく「賃金が上昇しやすい環境が整うまで粘り強く金融緩和を続ける」というのが、日銀の緩和継続の理由に据えられつつある…
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軍事費増強急ぐ世界、消える「平和の配当」
ロシアがウクライナ紛争で核兵器の使用をちらつかせたり、北朝鮮が核・ミサイル戦力を着々と強化させたりする動きが顕在化した2022年。「核兵器というのは実際は使われない兵器」という世界の認識が少しずつ崩れ始めている。米欧を中…
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「適正水準」見失う急変続きの円相場、日本が取れる対策は
今年の円相場の値幅は過去に例を見ない大きなものとなっている。為替相場の急変動で、円相場は「適正水準」を見失ってしまった。今後は米金融政策の先行きの利下げへの転換を予想しながら、円相場は反対方向の円高へ振れるだろうが、米国…
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見えてきた米利上げの終着点、5%超えの可能性はあるか
急ピッチで利上げを進める米FRB(連邦準備理事会)だが、市場では早くも利上げの到達点、いわゆる「ターミナルレート」が意識され始めている。インフレ圧力をしっかりと封じ込めるべく、ターミナルレートは昨年以降、徐々に引き上げら…
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対抗策なき米利上げの「巻き添え被害」、FRBに配慮はないのか
米国の急速な金融引き締め策の弊害が世界のあちこちに波及し、世界経済がさらに悪化するリスクが高まっている。金融市場も不安定かつ過敏な状態に陥っており、市場流動性の低下が懸念される。「世界の中央銀行」米国の配慮を期待したいと…
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インフレ対策にこだわる欧州中銀、ハイペース利上げは正解か
世界的にインフレが問題になる中、各国政府は対応に苦慮している。中でも欧州は、コロナ禍で進行した供給制約によるインフレに加えて、ロシア軍のウクライナ侵攻によるエネルギー価格上昇の影響を大きく受けており、事態は深刻だ。「物価…
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こんなに違う世界の物価高対策、ベストプラクティスはあるか
ロシアによるウクライナ侵攻の長期化でエネルギー価格の上昇が止まらないなど、物価高は天井知らずの気配を見せる。エネルギー需要が高まる冬場を前に、欧州連合(EU)各国や日本では、さらなる対策が求められている。価格決定の方法を…
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世界経済をかく乱する、経済理論無視の「わがまま政治家」
このところ、経済の一般常識に反する経済政策に固執する政治家、リーダーが世界のあちこちで散見される。トルコのエルドアン大統領やロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席と、その数は枚挙にいとまがない。彼らの独善的な行動が…
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米利下げ転換は2023年後半か、過去のインターバルから考える
現在、市場関係者の間で最も関心を集めているのが、FRB(米連邦準備理事会)の利上げ路線の転換がいつ訪れるかということ。過去の利上げ終了から利下げ開始までの期間をたどればそのヒントが見えてくる。もちろん、インターバルの長短…
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日銀が大規模緩和修正に動く2つのシナリオ
世界的な「利上げの潮流」にさからって、金融緩和政策を維持し続ける日本。金利差の拡大で円安が進み輸入物価が上昇しているが、日銀が緩和路線の修正に動く可能性はあるのか。2つのシナリオを考えた。
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1981年来の「4倍速利上げ」も視野?米国の景気後退は避けられるか
6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備理事会)は通常の3倍速となる0.75%の利上げに踏み切った。だが7月に発表されたCPIは9%を超え、インフレは収まる気配がない。7月のFOMCでは1%の利上げに…
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値上げラッシュのスーパー「客単価上昇、買上点数減少」が顕著に
「値上げラッシュ」が止まらない。食べ物など身近な商品の値上げに関する記事が連日報道されているが、消費者のマインドには具体的にどう影響を与えているのだろうか。筆者が考案した「値上げ-値下げDI」や、主要経済指標の動きから分…
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世論の半数は打ち切り希望でも、金融緩和は終わらない
為替市場で円安・ドル高が急進行する中でも、世界的な利上げの流れに日銀は巻き込まれることなく、6月17日の金融政策決定会合で金融政策を現状維持とした。国民の約半数は不満を抱えているが、日銀と岸田政権の間の意思疎通はきちんと…
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日本の金利が上がり始めたら、国債の利払い費はどうなる?
「異次元緩和」ともいわれる金融緩和の長期化で、財政規律には緩みが出始めている。国債利払い費が補正予算編成の財源として使われている実態は、その象徴だろう。では、仮に日本の金利上昇が始まった場合、大量発行した国債の利払いコス…
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中国「ゼロコロナ」堅持でも景気腰折れの心配は無用
中国が「ゼロコロナ政策」をかたくなに堅持し続けているのを受け、中国経済の冷え込みが懸念されている。しかし、今秋に共産党大会を控える中で、2022年の経済成長率「5.5%前後」という目標は何としても達成しなければならないと…
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「日銀は悪い円安を止めよ!」という主張の決定的弱点
米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢と、日銀のハト派姿勢。両者のベクトルの違いを最大の材料にして、為替市場で円安ドル高が急速に進み、一時131円台前半になった。
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ロシア中銀の女性総裁、「ルーブル防衛」ミッションクリア!
米国や欧州諸国が武器・弾薬や情報を提供してウクライナ軍を支援しながらロシアに対して経済政策を発動している「代理戦争」的な状況は、このまま長引く可能性が高まっている。
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為替相場は「移り気」で「好奇心旺盛だが飽きっぽい」
2022年3月の為替相場は、まれに見る大きな値動きになった。ドル/円相場が、日米中央銀行の金融政策のベクトル(方向)が正反対であることを材料にしながら急速に円安ドル高に動いた。
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