エレクトロニクス業界でのサムスンやLG、自動車業界での現代自動車など、グローバル市場において日本企業以上に影響力のある韓国企業が多く登場している。もともと独自技術が弱いと言われてきた韓国企業だが、今やハイテク製品の一部の技術開発をリードしている。では、日本の製造業は、このまま韓国の後塵を拝してしまうのか。日本の技術に優位性があるといっても、海外に積極的に目を向けスピード感と決断力に長けた経営体質を構築した韓国企業の長所を真摯に学ばないと、多くの分野で太刀打ちできないといったことも現実として起こりうる。本コラムでは、ホンダとサムスンSDIという日韓の大手メーカーに在籍し、それぞれの開発をリードした経験を持つ筆者が、両国の技術開発の強みを分析し、日本の技術陣に求められる姿勢を明らかにする。
シリーズ
技術経営――日本の強み・韓国の強み

完結
72回
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ホンダとサムスンで経験した技術経営の真髄
2013年4月から本コラムを執筆し、今回が134回、最終回となる。これまでのコラムを総括すべく、「技術経営の真髄」とは何かを述べてみたい。
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2019年、車載電池業界の勢力図が明確になる
急速なEVシフトに伴い、その中核を担う車載電池には、多くのメーカーが乱立している。2019年は、中国などの市場状況を鑑みると、その勢力図が明確になりそうな1年だ。
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インド市場における自動車の電動化と矛盾
初めてインドを訪問した。キャパシタフォーラムが企画したインドでのシンポジウムと視察に参加するためだ。そこにはインド政府筋との意見交換やホンダ・インド研究所への訪問協議が組み込まれていた。
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EVが減速する中国、加速する欧州
電気自動車(EV)で先行してきた日産自動車、三菱自動車、米テスラなどに追随して、日米欧のトップブランドが本格参入する構えを打ち出している。先日は、独フォルクスワーゲンがEV企業へ変身する準備に入ったことが報じられた。
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EVにおける中国の政策変化は外資への追い風?
2カ月前のコラムで中国の電池業界について論考した。その後、中国市場におけるエコカーの動向と、そこにつながる電池業界で大きな変化があった。
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グローバル会議を通じて考える日韓の強み
本コラムの主題にふさわしいフォーラムが10月18日にソウルで開催された。韓国メディア大手のECONOMY CHOSUNが主催した「Global Conference」である。「日本に学ぶ」というコンセプトにしたことから、…
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トップブランド参入で超激戦を迎えるEV市場
今回は、今後展開される電動化シフトの中でも、特に超激戦区となる電気自動車(EV)に関して、起こり得る状況について考察したい。
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中国製リチウム電池が信頼できない理由
日系勢のEVはこれまで量産を始めてから10年近くになろうとしているが、火災事故を1件も発生させていない。一方、中国製の電池を搭載したEVに関しては、事故の報道が絶えない。この差はどこから生じるのであろうか?
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爆走中国EV、電池業界に起きている異変
欧州の電動化シフトと共に、韓国勢および中国勢の電池各社が勢力を増強させている。逆に見ると、欧州および米国での日本勢の電池各社の存在感がかなり薄らいだ格好になってきた。では、何故このような勢力図に変わってきたのだろうか。
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繰り返される不正、企業統治はどこまで可能か?
自動車業界では不正問題が続出している。そんな中で、問題を引き起こしていないのは、トヨタ自動車、ダイハツ、ホンダのみ。すなわちトヨタグループとホンダだけとなっている。なぜ、この2グループは問題を引き起こしていないのだろうか…
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電動車の米ダブルスタンダード法規の行方と波紋
オバマ政権下で制定された25年までの自動車の燃費基準を撤廃して、21年以降の新基準を策定することが発表された。その中で、全米での燃費基準を統一する目的から、米10州が導入しているZEV規制も対象となり、廃止の方向で交渉を…
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中国の新エネルギー車規制にどう対応すべきか?
中国の車載用LIBのトップメーカーであるCATLが、海外初の生産工場を独チューリンゲン州に建設する。2017年には車載用電池でパナソニックを抜いて、世界最大手の電池メーカーとなった同社は、独での投資を1000億円を超える…
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燃料電池車を生んだホンダ基礎研究所の実力
ホンダにおいての燃料電池の研究開発は、基礎研究所として新たに発足した和光研究センターで1986年にスタートした。当時のホンダでの燃料電池の開発は、定置用を目的として出発し、燃料電池車用を目的としたものではなかった。
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日産が開発凍結を宣言した燃料電池車の行方
日産自動車はFCVの開発を凍結することを表明した。主流のEVビジネスを拡大する一方で、FCVの開発を凍結するのにはどんな理由があるのだろうか。
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車載電池のグローバル市場揺さぶるCATL旋風
BMWを独占的に顧客としていたサムスンSDI。そこに割って入ってきたのが中国CATLだ。既に供給契約を交わしている。中国市場でのビジネスが前提というものの、今後は中国以外での市場拡大方向も狙っている。
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R&D投資で韓国勢に見劣りする日本勢
日本政府が主導してきたように、「科学技術立国」「知財立国」「電池立国」と言う掛け声が多々発せられてきた。しかし、現実はどうだろう。これを実際に具現化するためには大きな障害や課題が山積しているのではないだろうか。
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テスラのEV苦戦で考える新規参入のリスク
1990年代に日本が一世を風靡していた液晶テレビや家電群、リチウムイオン電池などの勢力図は大きく変わった。その背景には、後発ながらも新興勢力が技術開発、人材スカウト、大規模投資などを積極的に進めてきた現実と実績がある。
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テスラのEV事業、三重苦どころか五重苦に?
前回のコラムで、テスラが抱える三重苦、死亡事故問題、生産目標台数の未達、腐食問題に関連するリコールについて述べた。テスラにはさらに新たな問題も浮上した。生産工場における災害発生件数に関して、過少報告の疑いが浮上している。
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テスラが抱える三重苦、経営危機に陥る?
米テスラの自動運転車両が3月23日に死亡事故を起こした。運転支援機能であるオートパイロットが作動中の中での死亡事故とされている。世界に衝撃をもたらしたこの事故を、どのように考えるべきなのか。
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新社会人がキャリアを形成するために必要なこと
豊かさを実感できる日本は、仕事のしやすさでもトップレベルにある。新社会人諸君は、夢と希望を抱きつつ社会に羽ばたこうとしていると思う。しかし、仕事環境が整っているとしても、気を引き締めて取り組む姿勢が重要なのはいうまでもな…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
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総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
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テスラが仕掛ける電池戦争
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回