シリーズ
御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」

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山本益博さんの「3年で仏料理2000回」に学ぶ
料理評論家の山本益博さんはかつて、フランス料理を理解するために3年間で二千回の食べ歩きをしたという。徹底的に経験を積み重ねることで、自分なりの「ものさし」をつくり、それまでとは違ったレベルで食事を楽しむためだ。
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掛川城のアート茶会に学ぶ、地域活性化の勘所
掛川城で行われた「現代アート茶会」に参加し、ずっと記憶に残るような体験をした。これまで色々な地域のイベントに参加してきたが、訪問者の満足感を高めるものには共通点がある。体験の質の高さと、もう一つは地元の人達との交流だ。
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日本企業は「社外資源」活用を本気で考えよ
現代の企業は、社内の研究開発だけでイノベーションを起こすことは困難になりつつある。日本企業はもっと「アクセレレータ・インキュベータ」などといった外部組織と提携し、技術や知恵、人材を社内に取り込むべきである。
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トランプの時代、日本はシリコンバレーと連携を
「ユーラシア・グループ」による「今年の10大リスク」予測の7番目が、「ホワイトハウスとシリコンバレーの対立激化」。米国IT企業はトランプ政権に苦慮している。この機に乗じて、日本企業はシリコンバレーとの距離を詰めるべきだ。
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「エレファントカーブ」がトランプ現象を生んだ
先進国で中間層の所得が伸び悩んだことを示す「エレファントカーブ」というグラフがある。この曲線は、グローバル化の進展により不利益を被ったのが先進国中間層であることを示唆し、「トランプ現象」の背景を雄弁に語る。
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「世代を超えた文化の継承」が観光の根っこに
岡山芸術祭や福山市での禅と庭のミュージアムなどのイベントを通じて、地元の経営者などによって世代を超えた文化の継承が進んでいることがわかった。これが「持続的に地域に価値を生む」観光の一番の根っこになるだろう。
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地域振興を成功させるセンスと文化
地域振興において、持続的に価値を生み出している活動はまだ少ない。この壁を打ち破るのは「センスの良さ」と「文化」。長野県の湯田中温泉街の再生や玉村豊男氏が関わるヴィラデストなどのワイナリーは、センスと文化を感じさせる事例だ…
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サービス産業のマクロ構造改革で日本を元気に
サービス産業の生産性向上に関する議論には偏りがある。医療分野における公的・公設病院への赤字補てん、観光・宿泊業における需要偏差や新陳代謝の不備など、マクロ構造要因にも目を向けるべきだ。
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リスクの極小化に長けた日揮の強み
日揮は海外各地でリスクの極小化に知恵を絞ってきた。他の企業も一定の時間とコストをかけて、リスクを低下させる自社ならではの施策を実行する必要がある。そこでは経営者自身がリスク・アドバンテージの構築にとりかかるべきだ。
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リターン獲得よりリスクを減らす視点が重要に
コンペティティブ・アドバンテージ(競争優位性)では、「より多くのキャッシュを得ること」に焦点が当たる。しかし、現在のような不安定な時代には、リスク量を減らすリスク・アドバンテージという視点が重要だ。
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シリコンバレーで再び高まる日本への興味
シリコンバレーでは日本のビジネスや文化に対する興味が、再度、高まってきている。日本と外国の技術や文化を組み合わせることによって、新しい価値が生まれる可能性もある。
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「言葉・数字・論理」への過度な依存からの脱却
言語や数字を介在せずに「感じる」べき情報も、無理やり言語化・数値化されて論理に組み上げられて、判断に供される。クリエイティブなアイデアにつながる心の働きを邪魔してしまい、イノベーションが起こらない組織文化を作ってしまう。
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長期的歴史観で見た日本経済の三つの選択肢
人類の成長・拡大サイクルを見据えた長期的な歴史観から考えると、工業化と資本主義をベースにした経済成長追求は限界を迎えつつある。日本経済にとって今後の成長への選択肢とは何か。
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古代国家の成立期に日本型リーダーシップの萌芽
日本型のリーダーシップの特徴のひとつは権威と権力の切り分けだ。古代国家の成立期直後から、こういう形態が生まれてきている。「変化の時代」における「ガバナンス」と「リーダーシップ」の議論を考える上でも、古代国家成立期の事跡が…
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ピアノの名演奏に学ぶ「リーダーに必要な資質」
ピアニスト金子三勇士氏の演奏や、シンギュラリティのレイ・カーツワイル氏の講演を聴き、リーダーの役割について考えさせられた。AIやIoTなど技術革新が進むなか、リーダーは冷静に「思い煩うべきことが何か」を見極めなければなら…
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BREXITのインパクト:企業はどう動くべきか
英国のEU離脱で企業はどう動くべきか。世界的な財政刺激や金融緩和の流れにBREXIT対策が上乗せされ、過度に緩和的な政策が継続する。様々なリスクが溜め込まれていく。企業はいずれ来る大きなショックに備える必要がある。
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切迫感に欠ける日本のデジタル技術活用
日本でもAIやデータ・アナリティクス、IoTなどの「デジタル・トランスフォーメーション」が話題だ。しかし、欧米に比べて切迫感に欠ける。将来のリスク対応より、まずは足元の経営課題に対応すべきだ。
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広く伝えたいアフリカに対する日本の貢献
8月27~28日にアフリカ開発会議が開催される。伊勢志摩サミットなどと比べて注目されていないが、日本主導で進めている重要な国際会議だ。アフリカにおける日本の貢献は広く伝わっていない。広報・マーケティングへの注力が必要だろ…
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震災と風評被害対策
地震などの自然災害では、観光需要への風評被害対策が重要になる。参考になるのはシンガポールのSARSの際の対策だ。熊本地震でも、外国人による現地からの情報発信を促すなどの対策が効果的だろう。
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医療の世界での「競争と協調」
日本の医療は市場競争の上に成り立っている。団塊世代による医療・介護インフラの増強とその後の需要減を見越したマネジメントが大切。医療機関は競争と協調のバランスを「協調」側にシフトする必要がある。