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 すぐに当時どのような取り決めがなされたか確認しました。すると、埋め立ての申請書類に「緑地としてこの島を保存する」ことが土地利用計画に記されていると分かり、連絡を下さった方々の主張が裏付けられました。同時に塩釜市の教育委員会に問い合わせをしました。その結果、市の文化財には指定されていないものの、市が発行する文化財ガイドなどに掲載していることも分かりました。

 県では外部から指摘を受けるまで、こうした埋め立て時の要望や約束について把握できていませんでした。埋め立ての申請書類を工事に当たってチェックすることもありませんでした。

 防潮堤の新設に当たっては、工事する場所が松島の特別名勝から外れており、竜頭島の工事に法的な縛りがないことはあらかじめ確認していました。同時に県や塩釜市の文化財として登録されているかを確認。該当しないため、工事に問題がないと判断していました。

 5月には周辺の漁業関係者らを対象にした説明会を塩釜市の職員も参加する形で開催。竜頭島を掘削することも説明したのですが、この段階では異論が出ませんでした。このため、県としては問題がないと判断して工事を進めました。

 もっと丁寧なやり方をするならば、やはり工事を始める前には文化財を管轄する塩釜市の教育委員会に確認しておくべきでした。それをしなかったことから、突出した部分を残す取り決めに気づきませんでした。約束を守れなかったことを申し訳なく思っています。

 私は指摘を受けてから現場を訪問しました。工事がストップしたまま、竜頭島には重機で崩した岩塊などが運び出されないまま積まれていました。海側から見た時には島の面影がありましたが、地続きの陸からはかなり掘削された印象を持ちました。

 掘削したことに対して、県に直接抗議する声は今のところ届いていません。地元ではテレビや新聞などを通じて「残念なことだ」といった声が伝えられています。

竜頭島に関連した周辺の工事は中止されたものの、竜頭島は4分の1が掘削された(写真=共同通信)

保存に向け計画を変更

 今になって思えばという話になりますが、港の利用計画上、不必要ともいえる「丘」のようなところがなぜ漁港用地内に存在しているのかについて疑問を抱けたならば、「何かしらの経緯やいわれがあるのでは」と考え、より詳細な調査や聞き取りを実施していたはずだと思います。やはり、様々な形で常に疑問を持つことや深読みすることが大事だと痛感しています。県に対して連絡をくれた方に対しては、早い段階から一連の経緯を説明させていただき、納得していただけました。再び植栽したり成形したりすることもあると思います。今後については、当時の経緯を知る人たちにご協力いただきながら、進めていきます。

 竜頭島に関連した工事はストップしており、この部分の計画は再検討している状態です。防潮堤の取り付け位置などを含めて工事方法は変更になります。ただし、防潮堤全体の設計には影響がありません。また工事の進捗についても竜頭島の工事が止まった分、ほかの工事を優先しているため、特に影響は出ていません。

 県による防潮堤をめぐっては今回の塩釜市以外にもミスが起きています。例えば、気仙沼市で計画より22cm高く施工したことが明らかになり、地元のおしかりを受けました。

 こうした事案を再発しないようにするため、これまで以上に地元を含めた調整や確認作業をしっかり進めていきたいと考えています。