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 確かに、ふるさと納税の本来の趣旨は「地域を応援したい」という点にあります。このため、返礼品の過当競争に対し、ある程度の歯止めが必要なのは間違いありません。その一方で、具体的に返礼品の比率をいくつにするかは、各自治体に考える余地があってよいのではないかと考えてきました。

 背景の一つには、財政面での理由があります。

 寒川町の場合、16年度まではふるさと納税での寄付は受けるより町外に寄付するほうが多く、16年度には流出額は2900万円にも上っていました。町の18年度の一般会計予算である約136億円と比べると、流出額はそれほど大きな金額ではないと思われるかもしれませんが、それは違います。たとえ2900万円でも地方で今、税収を伸ばすのは大変なのです。見過ごせる額ではありません。

 寄付金を増やし財源の流出を止める方法の一つは、返礼品の魅力を少しでも高めることです。が、寒川町では特産品が限られています。自然の産物は農産物以外だと少なく、工業製品の場合、該当するものが限られます。

 そこで、ふるさと納税関連のサイトを見ながら、他の自治体も採用していた旅行券を加えようと決めました。

ふるさと納税を呼びかける寒川町のホームページ(上)。同町は工業が盛んなことなどから、普通交付税の不交付団体となっている

 商品券などの金券については、転売目的になることが想定されるため、総務省から返礼品にしないようにとの通知もありました。このため、サイトにおいて「転売などを目的としたお申し込みは受け付けておりません」と注意喚起を促しました。

 申込時のメッセージで寄付をしてくれた方から、寒川町に興味を持ったとの趣旨のコメントを頂いたこともあります。返礼品の変更は、町の知名度向上にもつながるかもしれないとも思いました。

 寒川町は町内にある寒川神社は有名であるのに、町自体はあまり知られていません。これを機に町について知ってもらえれば、町の交流人口を増やすことにつながる可能性も出てきます。

 しかし、返礼品や返礼比率に関する通達が改めて総務省より出た以上、続けるわけにはまいりません。今後については全国の市町村の動向を見ながら総合的に判断していきたいと思います。

制度上の問題の見直しも

 最後に言わせていただけるなら、現行のふるさと納税のあり方には、釈然としない部分があります。寄付金による流出分が発生した際、普通交付税の交付団体には減収分の4分の3が補塡の対象になると定められているのに、不交付団体にはそれがないことです。

 神奈川県の内陸に位置する寒川町は工業が盛んで、製造業の事業所が多数立地しているため、不交付団体となっています。このため、寄付金により流出が出ても、自分たちでマイナス分を何とかしなければなりません。

 これは不公平ではないでしょうか。寒川町で工業が盛んなのは、先人が努力し企業を誘致した歴史があるからです。努力して不交付団体になったせいで不利に扱われる。理不尽に思えてなりません。当局には、返礼品や返礼比率のみならず、こうした制度上の問題についても今後、議論を進めていただければと思います。