コンゴからの留学生が6月、バスケットボール公式戦で副審を殴打する事件を起こした。バスケ部は3カ月の対外試合自粛、出場を決めていた高校総体も辞退した。日本語が話せない留学生。コミュニケーション不足で本音を知ることができなかった。

(日経ビジネス2018年9月17日号より転載)

[学校法人延岡学園 延岡学園高等学校 教頭]
佐々木 博之氏

1967年宮崎県延岡市生まれ。92年専修大学大学院卒、延岡学園に着任。社会、地理などを教える。2003年から教頭。祖父の秀雄氏が延岡学園の初代理事長。父、國夫氏が2代目理事長を務める。今の3代目理事長は叔父の雅彦氏。

SUMMARY

留学生による暴行事件の概要

6月17日の全九州高校バスケットボール、男子準決勝の延岡学園vs福岡大大濠の試合。延岡学園のコンゴからの留学生選手が副審を殴打した。留学生はその後、自主退学し帰国。延岡学園は8月の全国高校総体(インターハイ)出場を辞退、川添裕司監督を解任した。佐々木雅彦理事長、佐藤則夫校長、佐々木博之教頭も3カ月の減給処分とした。

 6月17日の午後1時前でした。コーチをしている付属中学校のバスケ部の練習を終え、帰宅した時です。高校バスケ部の川添裕司監督から「大変なことになった。生徒が審判を殴って没収試合になった」と連絡がありました。

 まさか、と思い午後2時半ころに学校に戻ると、もうマスコミが何社かいました。日本大学のアメフト部の悪質タックル問題のすぐ後だっただけに、より注目されたのは否めません。ですが殴ったことは事実です。理由はともかくまず謝罪しないといけない。翌18日に謝罪会見を開きました。

審判は口を10針縫うケガ

 事件が起きたのは長崎県大村市で行われた全九州高校大会の男子準決勝、福岡大大濠との試合でした。当校のコンゴからの留学生がファウルを取られた後、審判員を殴ったのです。審判の方は口を10針縫うケガをしてしまいました。本当に申し訳なく思います。

 殴った選手は1年生。3月に来日したばかりで、レギュラーではありません。2年生のコンゴからの留学生が累積ファウルで出られなくなり、途中から代わりに出たのです。それまで大きなトラブルもありませんし、ラフプレーが多い印象もありませんでした。

 この選手は川添監督が仲の良かったコンゴのコーチから、日本に行きたい子がいると紹介されました。身長が2m以上あり身体能力も高い。まずは動画を見せてもらい、当校で学ぶ意思があるかを確認し、受け入れを決めました。当校は2003年に初めてセネガルからの留学生を受け入れ、この選手でアフリカからの留学生は18人目になります。

 とても明るく社交的な印象で、4月10日に普通科に入学しました。学校では寮生活です。寮には留学生4人を含め50人くらいが生活しています。学費と生活費は免除され、食事も寮で出るという環境でした。

 ですが、5月末にコンゴに帰りたいと言い始めました。ホームシックのようでした。授業にも来ず、部活だけ出る状況になりました。監督と相談して、8月のインターハイが終わったら一度帰国し、家族と話し合って今後を決めなさい、と言いました。それで少し立ち直ったようにも見えました。

 学校では留学生に特別対応はしていません。授業は日本語で、週に2~3時間、川添監督が日本語を教えていたくらいです。でも1年いれば少し話せるようになり、3年後の卒業時には普通に話せます。ただ来て間もなくは言葉が通じない状況が続きます。