6月末、中国事業から撤退し10億円強の特別損失を計上すると発表した。一時はユニクロをしのぐ600店近くを展開したが、黒字のめどが立たないと判断した。「日本の比じゃない」という価格競争と市場の変化の速さについていけなかった。

(日経ビジネス2018年9月3日号より転載)

[ハニーズホールディングス 社長]
江尻 義久氏

1946年福島県生まれ。69年に早稲田大学卒、父親が経営するエジリ帽子店に入社。78年に婦人服を販売するエジリ(現ハニーズ)を設立し専務、86年から社長。2003年にジャスダックに上場(05年に東証1部)。17年に持ち株会社に移行。

SUMMARY

中国からの撤退の概要

6月29日に中国小売事業からの撤退を発表、2018年5月期に撤退に伴う特別損失10億円強を計上した。06年に中国に進出。その後は百貨店やショッピングモールに新店を出し、一時期は日本の衣料品専門店で最大規模となる600店近くまで店舗数を増やした。だが価格競争の激化などで採算が悪化、最近は中国が収益の足を引っ張っていた。

 中国に進出したのは2006年4月でした。ちょうど12年前になります。最初から好調でしたよ。百貨店の20坪くらいのコーナーに多くの店を出したのですが、1年目から利益が出ました。現地の若い子たちが日本のファッションに飛びついてきたのです。

 それを見た地元の一流百貨店が、どんどんテナントとして入ってくれと言ってきてくれて、上海、北京と店を広げていきました。13年くらいまでは一度も赤字にならなかったですね。ピークは12年でした。

急変した中国人の消費行動

 ですが、そこからがくんと下がりました。理由はまず、中国人の消費行動が大きく変わったことです。百貨店ではなくSC(ショッピングセンター)に行くようになったのです。日本もある時期から百貨店が勢いをなくしましたよね。だから中国でもいずれそうなると想像はしていたのですが、想像よりはるかに速いスピードでSCが伸び、百貨店は衰退していきました。

 その結果、売り上げは3分の1くらいに減りました。百貨店側も生き残りをかけて高級ブランド路線を選択するところが増え、そうなるとうちのようなお店は選ばれなくなります。

 当然、対抗策としてSCにもお店は出しました。ですが、SCはどんどん家賃を上げてくるのです。毎年毎年、それも半端ない金額で、です。

 販売員などの人件費も同時に上昇していきます。こうなると、商品が売れても全然もうかりません。売れなかったら当然もうかりませんよね。どうしようもありませんでした。中国人はしたたかですが、SCとの家賃交渉でそれを痛感しました。

 時代の変化も逆風でした。インターネット通販で洋服を買う若い人が増えたのです。ネット勢は家賃や人件費がかからないので、商品がとにかく安い。価格競争では勝てません。

 6年ほど前からは「独身の日」と呼ばれる11月11日のインターネット商戦がものすごく盛り上がってきました。日本でもすっかり有名になりましたよね。ここでみんな、すごい価格競争でキャンペーンを仕掛けるのです。

 それまでは、利幅が厚いジャケットやコートなど冬物が売れ出すのが11月ころだったのですが、その時期に「独身の日」がやってきてしまい、半額とかで消費者が買うようになってしまった。昔は1月まで正価で売れていたのですが、消費者の多くは独身の日で安く買っているので、その後は正価ではまず売れなくなりました。特に、我々の主要顧客は20~30代前半だったので、多くがネットに流れていきました。